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役員退職金の支払時期による税金の違い
● 退職所得は、税制上大幅に優遇されている
  経営者が法人から退職金を受け取る場合、税金面では大きなメリットがある。役員退職金の支給金額の目安は、「役員最終報酬月額×勤続(在任)年数×功績倍率」とされており、資金準備ができていれば、多額の退職金を支給することが可能である。この場合、役員退職金を支給した法人では、高額の損金を計上することができる。
  一方、退職金を受け取った役員側では、その退職金は退職所得となる。退職所得は、収入金額から勤続年数に応じた退職所得控除額を差し引いて、さらにそれを2分の1した金額(注)となるため、所得が大幅に圧縮される。また、退職所得の課税は分離課税とされており、その点でも優遇されている。
(注) 平成25年分所得税からは、特定役員等(勤続年数が5年以下の法人の役員等)が支払いを受ける特定役員退職手当等については、2分の1課税は廃止される(個人住民税は、平成25年1月1日以後に支払われるべき退職手当等について適用)。
● 生前退職金と死亡退職金の違い
  実際に、経営者が退職金の受け取りを検討する場合、時期によって選択肢は2つに分かれる。1つは、生前退職金として受け取る方法、もう1つは、死亡退職金として受け取る方法である。
  生前退職金として受け取る場合は、退職金の支給によって、自社株の評価が大きく下がる可能性がある。この場合、退職金の支給と同時に、自社株の後継者への贈与なども検討の余地がある。ただし、退職金の受け取りにより、現預金という個人財産は増えることになり、それらの財産が相続時にも残っている場合には、相続税の課税対象となる。つまり、結果的には所得税と相続税が両方課税されることになる。
  一方、死亡退職金として受け取る場合には、所得税が課税されず、相続税のみが課税される。しかし、相続税には死亡退職金の非課税制度があり、法定相続人1人当たり500万円の非課税枠があるため、課税対象額は減らすことができる。ただ、この場合は生前に退職金を受け取ることができないため、老後の費用等として活用することができなくなる。
  
村田 直(むらた・ただし)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士
大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
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2012.10.25
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