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高齢者の雇用に活用したい「特定求職者雇用開発助成金」
● 少子高齢社会には、高齢者の労働力活用がカギ
  政府は高齢者の雇用の促進にかなり力を入れているが、現状はまだまだ就職することが難しい高齢者も多い。そんなこともあって、厚生労働省では、一般的に就職が困難といわれる高齢者などを新規に雇用した際に事業主に支給される「特定求職者雇用開発助成金」という助成金の制度を設けている。
  この特定求職者雇用開発助成金は、下記に挙げる高齢者をはじめとする特定求職者を、継続して雇用することが見込まれる労働者として雇い入れた事業主に対して、賃金相当額の一部の助成をするというものである。
  助成金は、融資と違って返済する必要がない。また厚生労働省管轄の助成金は、支給要件に該当していれば、添付書類とあわせて、きちんと期限内に支給申請をすれば基本的には支給されるものなので、有効に活用すべきである。
  この特定求職者雇用開発助成金には、高齢者を対象にした2つの助成金制度がある。1つは60歳以上65歳未満の高年齢者等で就職が特に困難な者を雇い入れた場合の「特定就職困難者雇用開発助成金」、もう1つは65歳以上の離職者を雇い入れた場合の「高年齢者雇用開発特別奨励金」である。支給のための主な要件や対象労働者、支給額、助成対象期間については下記にまとめるが、詳細はリンク先のHPにて確認していただきたい。
● 特定求職者雇用開発助成金の概要
 【支給のための主な要件】
雇用保険の適用事業主であること
対象労働者をハローワーク等所定の紹介方法により、継続して雇用する労働者として雇い入れたこと
高年齢者雇用開発特別奨励金については、1週間の所定労働時間が20時間以上かつ1年以上継続して雇用する労働者として雇い入れること(派遣雇用や有期契約雇用の場合は、契約の実態から判断して1年以上の雇用継続が確実に見込まれると認められること)
対象労働者の雇入れ前後6ヶ月間に解雇等がないこと
労働保険料を滞納していないこと
労働者名簿、賃金台帳、出勤簿等を整備、保管していること
 【特定就職困難者雇用開発助成金の対象労働者、支給額、助成対象期間】
対象労働者
(一般被保険者)
支給額 助成対象期間
大企業 中小企業 大企業 中小企業
短時間労働者以外
@ 高年齢者(60歳以上65歳未満)、
母子家庭の母等
50万円 90万円 1年 1年
A 重度障害者等を除く
身体・知的障害者
50万円 135万円 1年 1年6か月
B 重度障害者等※1
100万円 240万円 1年6か月 2年
短時間労働者※2
C 高年齢者(60歳以上65歳未満)、
母子家庭の母等
30万円 60万円 1年 1年
D 身体・知的・精神障害者
30万円 90万円 1年 1年6か月
(※1)重度身体・知的障害者、精神障害者、45歳以上の身体・知的障害者
(※2)週当たりの所定労働時間が20時間以上30時間未満の者
 【高年齢者雇用開発特別奨励金の対象労働者、支給額、助成対象期間】
対象労働者
(65歳以上の離職者)
支給額 助成対象期間
大企業 中小企業
週当たりの所定労働時間が
30時間以上の者
50万円 90万円 1年
週当たりの所定労働時間が
20時間以上30時間未満の者
30万円 60万円 1年
 【注意点】
これらの助成金は、ハローワーク等所定の経由でなく、自社で募集を行って労働者を雇入れた場合や、募集以前に面識があって入社がすでに決まっていたような場合には支給の対象とならない。
不正受給をした場合及び不正受給をしようとした場合、国から支給された助成金は返還しなければいけないだけでなく、今後3年間は助成金をもらえなくなる可能性がある。
参考  :厚生労働省ホームページ「新たに高年齢者、障害者等の就職が特に困難な者又は65歳以上の離職者を雇い入れた事業主の方への給付金」
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/dl/05.pdf
  
庄司 英尚 (しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所 所長
社会保険労務士 人事コンサルタント
  福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/
  
  
2012.11.05
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