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FX投資家、為替市場で存在感
● 東京外為市場取引の6割占める
  外国為替市場で「FX」と呼ばれる「外国為替証拠金取引」の存在感が増している。手がけているのは日本の個人投資家で、個人の取引動向が相場全体に影響を与えている。米国経済の復調もあってドル・円相場はやや円安方向に振れ始めたが、これが持続するかどうかは、FX投資家の取引がカギを握りそうだ。
  東京外為市場の主要な取引参加者は、自動車や電機などの輸出企業と生命保険会社の機関投資家だ。彼らはプロの投資家として日々、ドルやユーロなどの通貨を買ったり、売ったりしている。ところが近年ではFXを通じた個人投資家の取引が急増。金融機関が受けた注文のうちFX会社からの分、つまり個人の取引が全体の約6割を占めるようになったという。
● レバレッジが特徴
  FXの最大の特徴は、レバレッジ(てこ)を効かせて元手の25倍まで売買できる点にある。100万円の証拠金をFX会社に差し入れれば、2,500万円の取引ができるのだ。非常にハイリスクだが、思惑通り相場が動けばリターンも大きい。それで人気が持続し、現在では月間100兆円の取引がある。国内の株式取引をはるかにしのぐ規模で、外為市場に与える影響も次第に大きくなっている。
  FX投資家は今年の春ごろからドル買いを膨らませてきた。相場が1ドル=70円台半ばに近付くとすかさず押し目買いを入れ、80円台に戻る過程で利益確定売りを出すという取引を繰り返してきた。
※ 上昇過程で一時的に価格が下がったタイミングを狙って買うこと。
● 円高を加速する可能性も
  相場に影響力を持ち始めたFX投資家がこういう投資行動をとり続けると、ドルが上昇する(=円安になる)局面ではドル売り(円買い戻し)が出て、円安のペースは緩くなる。一方ドルが下落する(=円高になる)局面ではさらなるドルの押し目買い(円売り)が入り、急な円高にもなりにくくなる。これが今年後半、ドル・円相場がこう着してきた要因の一つだ。
  注意しなければならないのは、急激にドル安(円高)が進むケース。逆張りのドル買いを膨らませたFX投資家が損失拡大を我慢できずに損切りのドル売りに回れば、ドル安(円高)をさらに加速するかもしれない。その場合、75円台に向けてドルが急落(円が急伸)する可能性もある。
(内容は11月1日現在のものです)
2012.11.08
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