>  今週のトピックス >  No.2528
消費税増税で住宅の購入はいつがお得?(後編)
承前(前編は11月1日更新/今週のトピックスNo.2522)
2.住宅支援制度
@住宅ローン減税
  財務省と国土交通省は住宅ローン減税を拡充する方向で検討に入った。減税期間を現行の10年から15年に延長し、ローン控除率を1%から最大2%に引き上げ、減税額も最大1,000万円規模に大きく引き上げる方針だ。実現すれば過去最大の住宅ローン減税になる。
住宅ローン減税推移
2012年 2013年 2014年
ローン残高上限 3000万円 2000万円 引き上げへ
減税期間 10年 10年 15年
控除率 1% 1% 最大2%
最高減税額 300万円 200万円 最大1000万円規模
※2014年は検討中 / 日経新聞9月報道を基に(株)FPウィム社作成
Aフラット35S
  国土交通省は若年層の住宅購入を後押しするため、2013年度から住宅支援機構が取り扱う長期固定金利型の住宅ローン「フラット35S」の新しい金利優遇制度を設ける方針だ。初めて自宅を購入する人を対象として、現在、0.3%の金利優遇幅を0.5%にする。今の金利水準ならば、新制度を利用する人は、当初10年間は最低で年1%台前半と大幅に低い金利で借りられることになる。
3.住宅ローン金利
  フラット35全期間固定の金利は1.85%〜2.55%程度で推移している(2012年11月現在)。一方、変動金利は都市銀行などでは0.9%前後で推移しており、どちらも過去最低の金利水準となっている。
4.どのタイミングで購入するか
@消費税アップ時期とローン控除
  注文住宅の請負契約を2013年9月末までに行い、引渡しを2014年中に行えば、消費税は5%、住宅ローン控除2%が適用になる可能性があり、最大の恩恵を受けることができるかもしれない。請負契約が2013年10月以降になっても、引渡しを2014年1月から3月末までに行えば上記と同じ恩恵を受けることが可能である。
  住宅ローン減税は所得税、住民税の税金を支払っている場合に税額が減る制度である。たとえ最大1,000万円規模の控除になっても、もともと税額が少ない場合には大きなメリットとはならないので注意してほしい。
A住宅ローン金利の推移
  現在の金利が最低水準と考えた場合、住宅取得資金を100万円貯めている間に、金利が1%上昇したと仮定して、以下の2つのプランで検証してみよう。
  A)借入金額2500万円、金利2.00%、期間30年
  B)借入金額2400万円、金利3.00%、期間30年
  A)、B)の総返済額を比較すると、A)は約3,300万円に対してB)は約3,700万円と、B)の方が100万円少なく借りているのに返済総額は約400万円も多くなる。将来金利が上がりそうな場面では早めに購入すると良いということになる。
  購入物件やローンの返済計画が立てられている方にとっては、消費税増税前に購入を検討される方が良いが、まだ何も決まっていない方や所得税を多く支払っている方は駆け込みで購入するより、消費税率が上がった後の消費低迷期の物件価格値下げやローン控除率が上がってから購入を検討されると良いだろう。
  
伊田 賢一 (いだ・けんいち)
株式会社FPウィム 代表取締役、株式会社WINKS 代表取締役
CFP®認定者、一級ファイナンシャル・プランニング技能士
証券会社3社に勤務の後、2002年に独立系FPとして活動開始。独立系FP会社役員を経て、2007年に相談業務を中心としたFP会社として株式会社FPウィムを設立。2010年には多角的なFPサービスの提供を目的とした株式会社WINKSを設立。相談者の心の内の心配ごとをいち早く見つけ、個々人の夢や目標に応じたマネープランニングを提案し、実行援助、管理、見直しに至るまで包括的なサービスを提供している。個人や企業の相談は月平均30件、講演、セミナーも年間60件を超えるなど、幅広いファイナンシャル・プランニング業務を行っている。さいたま朝日に「家計の知っ得」、ホケモンに「保険の基礎知識」などを連載中。おもな著書に「うかる!FP技能士2級」「うかる!FP技能士3級」「うかる!証券外務員2種」などがある。
NPO法人日本FP協会 埼玉支部副支部長、 マネーカフェさいたま代表、埼玉県金融広報委員会アドバイザー。
株式会社FPウィム http://fpwim.com/
  
  
2012.11.12
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