>  今週のトピックス >  No.2532
会計検査院、税金の徴収漏れ約2億3千万円を指摘
● 税金のムダ使いは過去2番目に多い5296億円
  会計検査院がこのほど公表した平成23年度決算検査報告によると、各省庁や政府関係機関などの税金のムダ遣いや不正支出、経理処理の不適切などを指摘したのは513件、5296億742万円にのぼった。
  前年度に比べ、指摘件数は55件減るも、指摘額では23.6%増加し、平成21年度(1兆7904億円)に次ぐ過去2番目の金額となった。21年度が突出しているのは、独立行政法人の利益剰余金や国民健康保険の財政調整交付金の過大交付などについて1兆円を優に超える指摘を行ったことによる。
● 徴収過大は153万円で9割近くも激減
  財務省に対しては、税金の徴収額の過不足2億3514万円(前年度2億7537万円)が指摘された。64税務署において、納税者97人から税金を徴収するにあたり、徴収額不足が95事項、2億3361万円、徴収額過大が2事項153万円だった。
  前年度は、72署において徴収不足が97事項、2億6397万円、徴収過大が5事項、1140万円だったので、徴収不足はほぼ1割減少、徴収過大は9割近くも激減したことになる。
  徴収が過不足だった97事項を税目別にみると、「法人税」が64事項(うち徴収過大1事項)で徴収不足が1億4668万円と最多、以下、「申告所得税」20事項、同6128万円、「相続税・贈与税」5事項、同1370万円、「消費税」6事項(うち徴収過大1事項)、同688万円、「源泉所得税」2事項、508万円となっている。
  これらの徴収不足額や徴収過大額があった97事項については、会計検査院の指摘後、すべて徴収決定または支払決定の処置がとられている。
● 不当事項として取得費加算による減税額117億円を指摘
  検査院の報告では、法令違反に当たる不当事項として、(1)相続財産に係る譲渡所得の課税の特例の適用状況等について、譲渡していない土地等に対応する相続税相当額を取得費に加算したことによる所得税の減税額(試算額)(収入)117億7969万円、 (2)輸入事後調査によって非違が判明した場合の修正申告等または更正等による税額の確定について、6ヵ月以上未確定だった追徴税額(収入)11億8851万円、 などを指摘している。
  また、検査院は、過年度の検査報告で意見表示・処置を要求した事項の結果として、中小企業者に適用される租税特別措置等については、平成24年度税制改正大綱において、各種指標による中小企業者の定義づけの可能性も含めて、その在り方を引き続き検討するとされたことや、社会保険診療報酬の所得計算の特例に係る租税特別措置について、特例の適用実態を精査した上で、25年度税制改正において検討するとされたことなどを明らかにしている。
参考 :会計検査院>平成23年度決算検査報告の概要>不当事項>財務省>租税の徴収額に過不足
http://www.jbaudit.go.jp/report/new/summary23/pdf/fy23_futo_006.pdf
  
浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に「住基ネットとプライバシー問題」(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍「生命保険法人契約を考える」
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.html
  
2012.11.19
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