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キャッシュを使わずに納税負担を減らすには?
● 損金を作り出す3つの方法
  決算対策において、納税負担を軽減するためには、損金に算入することが必要となる。損金を作る場合、キャッシュとの関係で考えると、3種類の方法が考えられる。
   (1)  キャッシュを使って損金を作る
   (2)  キャッシュを使わずに損金を作る
   (3)  キャッシュをもらって損金を作る
  この場合、(1)の「キャッシュを使って損金を作る」のは、最も後回しにすべき方法となる。この方法であれば、法人の場合、実効税率を仮に40%とすると、1万円の損金で減らせる税金は4,000円となり、減少する納税負担に対して、先行していったん2.5倍のキャッシュが必要な計算になる。
  一番望ましいのは、(3)の「キャッシュをもらって損金を作る」方法である。含み損を抱えている資産の売却がこれにあたる。例えば、簿価1,000万円の土地を500万円で売却すれば、500万円のキャッシュを手に入れて、なおかつ500万円の売却損を計上することができる。
● キャッシュを使わずに損金を作る3つの方法
  次に考えるのが、(2)の「キャッシュを使わずに損金を作る」方法である。大きく3つの方法が考えられる。1つ目は、「除却損」である。例えば、固定資産台帳を見直してみると、買い替え等により既になくなっている資産が計上されていることがある。この場合に、「固定資産除却損/固定資産」という仕訳を計上するのである。この方法は台帳を見直すだけで実施可能である。
  2つ目は、「貸倒損失」である。売掛金や貸付金などで回収が滞っている債権がある場合、一定の要件を満たせば、貸倒損失を計上することができる。例えば、継続的な取引を行っていた債務者の資産状況、支払能力等が悪化し、その債務者との取引を停止した場合、その取引停止の時と最後の弁済の時などのうち最も遅い時から1年以上経過した時には、その債務者に対する売掛債権(貸付金などを除く)について、その売掛債権の額から備忘価額を控除した残額を貸倒れとして損金処理をすることができる。
  3つ目は、「評価損」である。棚卸資産や固定資産、有価証券については、一定の要件を満たせば評価損を計上することができる。例えば、いわゆる季節商品で売れ残った棚卸資産について、今後通常の価額では販売することができないことが既往の実績その他の事情に照らして明らかである場合には、評価損を計上できる場合がある。決算対策においては、これらの「キャッシュを使わずに損金を作る」方法を優先して考えなければならない。
  
村田 直(むらた・ただし)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士
大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
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◎私たちは「経営者へのお役立ち度★世界一」の税理士事務所を目指します!
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2012.12.06
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