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平成26年1月から記帳・帳簿等の保存対象者が拡大
● 処分の理由附記の範囲が拡大
  平成23年度税制改正において、税務調査手続きの明確化等を内容とする国税通則法等の改正が行われた。その中の一つ「処分理由の記載」において「税務署長等が、更正又は決定などの不利益処分や納税者からの申請を拒否する処分を行う場合には、その通知書に処分の理由を記載します」とされた。
  これは平成25年1月1日以後にする処分について適用される。ただし、個人の白色申告者(所得税の申告が必要でない者を含む)のうち、平成25年において記帳及び帳簿保存義務がない者(平成20年から平成24年までのいずれかの年において記帳及び帳簿保存義務があった者等を除く)に対する処分理由の記載については、平成26年1月1日から適用される。
● 平成26年1月から全ての白色申告者は記帳及び帳簿保存が必要
  処分の理由附記の範囲が拡大されることに伴い、事業所得等を有する白色申告者に対する現行の記帳・帳簿等の保存制度について、平成26年1月から対象者が拡大される。
  現行は白色申告者のうち、前々年分あるいは前年分の事業所得、不動産所得及び山林所得の合計額が300万円を超える者(記帳対象者)は、収入金額や必要経費を記載すべき帳簿(法定帳簿)を備え付けて収入金額や必要経費に関する事項を記帳するとともに、その記帳にかかる帳簿書類を保存する必要がある。
  ちなみに白色申告者の帳簿等の保存期間は、次の通りである。
収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿) 7年
業務に関して作成した上記以外の帳簿(任意帳簿) 5年
決算に関して作成した棚卸表その他の書類 5年
業務に関連して作成し、又は受領した請求書、納品書、送り状、領収書などの書類 5年
  実務においては記帳及び帳簿保存義務がない白色申告者については、集計表などで管理されていると推測する。平成26年1月から事業所得、不動産所得及び山林所得を生ずべき業務を行う全ての者(所得税の申告が必要でない者も含む)について、記帳及び帳簿保存義務が生じることになるため準備が必要である。
  生命保険の保険募集人の方についても、今後は収入の多寡に関係なく記帳及び帳簿の保存義務を負うこととなるので、平成26年1月からの本番開始をスムーズに迎えるために、準備の意味も込めて来年からさっそく対応しておくことは有効と思われる。
  簿記知識がないと記帳はできないと思われがちだが、今や市販ソフトを導入することにより、小遣い帳の感覚で入力できるようになっている。また、市販ソフトは基本複式簿記となるため、青色申告も検討されたい。
  
今村 京子 (いまむら・きょうこ)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士
三重県出身。金融機関・会計事務所勤務を経て現法人へ。平成15年6月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
プライベートでは、夫は税理士の今村 仁で2女の母。趣味は歌舞伎鑑賞。
マネーコンシェルジュ税理士法人
◎私たちは「経営者へのお役立ち度★世界一」の税理士事務所を目指します!
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2012.12.13
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