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平成25年に向けての役員報酬設定の注意点
● 今後決定する役員報酬で、平成25年分所得が決まる
  平成18年度税制改正により、役員報酬は定期同額給与が基本となり、期中で変更した場合には原則、その一部が損金として認められなくなった。役員報酬の変更は基本的に、事業年度開始から3ヶ月以内に行わなければならないため、例えば、9月決算法人の役員報酬変更は、原則12月末までとなる。このときに決定した役員報酬は、今後1年間継続することになるため、平成25年分の個人所得税は、今回決定する役員報酬の金額により、ほぼ決定する。その際、注意しておかなければならないのが、平成25年分から適用される税制改正である。
● 平成25年分所得税の改正と法人税率引き下げ
  所得税については、給与所得控除の縮小と復興特別所得税の創設が行われる。給与所得の金額は、原則、その年中の給与等の収入金額から給与所得控除額を控除した残額とされている。平成24年分までは、給与等の収入金額が増えるほど、給与所得控除額は増えていき、上限はなかったが、平成25年分からは給与等の収入金額が1,500万円を超える場合の給与所得控除額は245万円で頭打ちとなった。そのため、役員報酬が今までと変わらなくても、年収1,500万円を超えていれば増税となる。
  また、平成25年から平成49年までの25年間、基準所得税額の2.1%の復興特別所得税が課税されるため、こちらも増税となる。
  一方、法人税率については、平成24年4月1日以降開始事業年度から引き下げられている。具体的には、中小法人については、所得800万円以下の部分に対しての税率は18%から16.5%に、所得800万円超の部分に対しての税率は30%から28.05%に引き下げられている(いずれも、復興特別法人税を含む)。
  これから役員報酬を決定しようとする場合には、これらの改正を勘案し、法人の予想利益等を念頭に置いた上で、金額を決定する必要がある。また、これを機に、生命保険を活用した役員退職金準備などと組み合わせて、役員報酬を考えるのもいいだろう。もちろん、ただ単に税金だけで役員報酬を決定できるわけではないので、最終的には、総合的に判断して頂きたい。
  
村田 直(むらた・ただし)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士
大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
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2012.12.20
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