> 今週のトピックス > No.2550 |
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日銀の国債引き受けは景気回復の妙手となるか!? | ||||||||||||
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衆議院選挙を目前にして、景気回復の優先、社会保障充実、脱原発、消費税増税反対など各政党が色々な政策を発表してきている。
その中で、11月17日付で自民党の安倍晋三総裁が「景気刺激策として、建設国債を発行して日本銀行に国債を引き受けさせることが望ましい」との考えを表明した。 そこで、今回は日本銀行の国債「引き受け」と「買い取り」の違いを解説したい。 ![]()
1.日本銀行の国債引き受けの禁止
日本銀行の国債引き受けとは、日本銀行が国債を国から直接購入することをいう。 これは、財政法第5条によって原則として禁止されている。なぜなら、日本銀行が紙幣を印刷し、そのおカネを直接国(政府)に渡していることになる。日本銀行が国債を直接引き受けると、その国の財政秩序が崩れ、日本銀行通貨の増発に歯止めが掛けられなくなり、予想以上のインフレを引き起こすおそれがあるからである。 この手法は戦前、軍事費を調達するために行われたことがあり、財政支出にブレーキがかけられず、物価は数十倍に暴騰した。このことから戦後は財政法で国債を直接引き受けることを禁じている。 ![]()
2.日本銀行の国債買い取り
前項でも書いたように、日本銀行は国債を直接引き受けることができないため、市場を通じて金融機関から国債を買うことになる。金融緩和を目的に金融機関が保有している国債(長期国債)を購入して、市場に資金を供給するいわゆる「買いオペレーション」などの公開市場操作は、このように国債買い取りによって行われるのである。 ![]()
3.日本銀行は国債をいくらまで買えるの?
日本銀行が政府の借金を肩代わりすることを防ぐため、「保有する長期国債の上限は、発行銀行券の発行残高まで」となっている。11月末に公表された日本銀行の2012年上半期末財務諸表を見てみると、長期国債の残高は81兆6,500億円であり、発行銀行券残高の80兆9,000億円と比べると長期国債の残高が上回っている。 ただし、日本銀行は金融緩和のためにバランスシート上創設した“基金”で購入した国債については「ルールの対象外」としている。ちなみに2012年上半期末の基金の長期国債残高は18兆円ある。金融緩和のための国債買い入れは今後も続けられる予定で、基金も含めた長期国債保有額はさらに膨らむことが想定される。日本銀行の資産は膨張し、財務内容が悪化することも考えられる。 金融緩和だけでなく、日本の成長力を上げる構造改革も行ってくれる政党に期待したい。 ![]()
(内容は12月6日現在のものです)
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2012.12.20 |
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