>  今週のトピックス >  No.2555
従業員の4人に1人「パワハラを受けたことがある」と回答
● 国として初めての職場のパワハラに関する実態調査
  平成24年12月12日、厚生労働省から「職場のパワーハラスメントに関する実態調査」の報告書が公表された。この調査は、厚生労働省からの委託事業として東京海上日動リスクコンサルティング株式会社が実施したものであり、国として初の職場のパワーハラスメントに関する実態調査である。
  この調査は、厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」(座長:堀田力 さわやか福祉財団理事長)が平成24年3月に公表した「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」を踏まえ、職場のパワーハラスメントの実態を把握するとともに、問題発生の要因分析や、予防・解決に向けた課題の検討を行うことを目的としており、企業調査は計4,580社から、従業員調査は計9,000名から回答を得ている。その調査結果によるとパワーハラスメントの発生状況については、従業員の4分の1がパワーハラスメントを受けたことがあるという認識を示している(従業員調査)。
出典:「職場のパワーハラスメントに関する実態調査」
● パワハラ相談を受けたことがある企業は、過去3年で45.2%
  調査結果によると、実際に過去3年間にパワーハラスメントに関する相談を1件以上受けたことがある企業は回答企業の45.2%で、実際にパワーハラスメントに該当する事案のあった企業は回答企業の32.0%であった。またパワハラ相談の多い職場に共通する特徴(企業調査)として、「上司と部下のコミュニケーションが少ない職場」が51.1%と最も多く、以下「正社員や正社員以外など様々な立場の従業員が一緒に働いている職場」(21.9%)、「残業が多い/休みが取り難い職場」(19.9%)、「失敗が許されない/失敗への許容度が低い職場」(19.8%)と続いており、これらの特徴は従業員調査においても同じような結果が出ているところから今後の対策として大いに参考になるところである。
  回答企業全体の80.8%が「職場のパワーハラスメントの予防・解決のための取組は経営上の課題として重要」だと感じている一方で、実際に予防・解決に向けた取組をしている企業は45.4%にとどまっている。特に従業員99人以下の企業においては18.2%と2割を下回っていることから、とくに中小企業での取組を進めるための工夫が必要であることがわかった。
  パワハラの予防・解決に向けた取組としては、「管理職向けの講演や研修会」や「就業規則などの社内規定に盛り込む」などが実際に行われているが、パワハラ相談窓口については、設置されているものの利用率が低いというのが現状である。相談窓口が有効に活用され、問題解決につながるような役割を果たすことができるような仕組みづくりが今後のパワハラ対策の課題の1つであるといえるのではないだろうか。
参照 :厚生労働省「『職場のパワーハラスメントに関する実態調査』の報告書がまとまりました。」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002qx6t.html
  
庄司 英尚 (しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所 所長
社会保険労務士 人事コンサルタント
  福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/
  
  
2013.01.15
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