>  今週のトピックス >  No.2558
円安・株高はどこまで持続するのか?
● 円は80円台後半、日経平均は1万円台回復
  2013年の金融市場は円安・株高で始まった。株や外貨資産で運用している人は懐が潤った人も多いだろう。ドル・円相場は久しぶりに1ドル=80円台後半の円安水準となり、日経平均株価は1万円台を回復した。円安・株高傾向はいつまで続くのだろうか。
  今回の円安・株高は昨年11月中旬の衆議院解散と自民党・安倍晋三総裁の金融緩和発言が起点となった。自民党が政権を奪還すれば、景気を浮揚させるため民主党政権よりもさらに日銀に圧力を掛け、金融緩和を実施させると市場関係者が先読み。これで円安が進み、輸出産業主力の日本株が買われ始めた。
● 為替は金利で動く
  2012年5月下旬の今週のトピックスNo.2430「根強い円高に変化の兆しも…」などで再三指摘した通り、ドル・円相場を読み解くうえで最も重要なのは日米の金利差だ。日銀が安倍政権の言いなりになってさらなる金融緩和(金利を下げる政策)を実施すれば、日本の金利は下がる。一方、米国経済は08年に起きたリーマン・ショックからの回復が経済統計など目に見える形で表れ始め、金利が上がり始めている(景気が良くなるとリスク投資が活発になるため、安全資産の債券が売られ金利は上がりやすくなる)。
  米国の金利が上昇し、日本の金利が低下すると、日米の金利差が拡大し、ドルへの投資妙味が増す。それでドル高(円安)になりやすい。米国の金利がじわじわと低下してきたこれまでの状況に反転の兆しが見え始めたため、外国為替市場は先読みして円を売り始め、ドルを買い始めたというのが、今回の円安の実態だ。
● 米景気の回復が最大の焦点だが…
  今後も最大の注目点は米国経済の動向となる。特に米国経済を支える住宅市場と雇用が回復する限りは、米金利は上がりやすく、ドルが買われ(反対に円は売られ)、株が買われやすくなる。これに伴い円安・日本株高も持続するだろう。逆に米経済に何らかのブレーキがかかれば、円高・株安に再反転する。
  リスク要因は欧州の動向だ。これまでも欧州の債務危機が再燃するたびに、ユーロが売られる反動で、比較的安全な円が買われ円高になっていた。もっとも、米経済がしっかり立ち直ってくれば、ユーロ売りの受け皿はドルと円で分担することになる。また、日本政府の財政悪化で円も積極的に買われにくくなってきた。1ドル=70円台の「超円高時代」に戻る可能性はかなり低いと筆者は考えている。
  (内容は1月15日現在のものです)
2013.01.17
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