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生産等設備投資促進税制など企業減税の方向に
―平成25年度税制改正大綱より―
● 生産等設備投資促進税制は2年間の時限措置
  平成25(2013)年度税制改正の目玉の一つは、民間投資の喚起による成長力強化の一環として法人税減税を実施することだ。具体的には、(1)国内における設備投資へのインセンティブを広く付与する生産等設備投資促進税制の創設、(2)環境関連投資促進税制(グリーン投資減税)の対象範囲を拡充し2年延長、(3)研究開発税制の総額型の控除上限額の引上げ、特別試験研究費の範囲に一定の共同研究を追加、などがある。
  生産等設備投資促進税制は、2年間の時限措置だ。企業が2013年4月1日から2015年3月31日の間に取得した国内の事業に使用する生産設備等への総投資額が一定の基準を満たした場合、その取得額の30%の特別償却か3%の税額控除(当期の法人税額の20%を限度)の選択適用ができる制度。総投資額が、その企業の当期の減価償却費を上回り、さらに前年度の投資額に比べ10%以上増えていることが、一定の基準となる。
  生産設備等とは、製造業その他の事業の用に直接使用される減価償却資産(無形固定資産及び生物を除く)で構成されているものをいい、例えば、国内工場の建屋や機械などが該当する。本社や寄宿舎などの建物、事務用器具備品、乗用自動車、福利施設などは該当しない。これまでの投資減税は、企業が経営計画などの承認を国や都道府県から得なければならなかったが、今回は、投資実績だけで減税の適用や規模が決まる。
● 研究開発税制は控除額上限を法人税額の30%に引上げ
  グリーン投資減税は、エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合に、設備の取得価額に対し、特別償却または税額控除を認めるものだが、再生可能エネルギーと省エネ設備の導入を最大限推進するため、現行の太陽光・風力発電設備の即時償却制度の適用期限を2015年3月31日まで2年延長するとともに、その対象範囲を拡充し、省エネ設備であるコージェネレーション設備を追加する。
  研究開発税制は、試験研究費の総額、特別試験研究費の額、繰越税額控除限度超過額に係る各税額控除制度、中小企業技術基盤強化税制及び繰越中小企業者等税額控除限度超過額に係る税額控除制度について、控除額の上限を当期の法人税額の30%(現行20%)に引き上げる。また、特別試験研究費の額に係る税額控除制度について、特別試験研究費の範囲に一定の契約に基づき企業間で実施される共同研究に係る試験研究費等を加える。
※  「平成25年度税制改正大綱」については、国会を通過するまでは確定事項ではありません。
  
浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に「住基ネットとプライバシー問題」(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍「生命保険法人契約を考える」
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.html
  
2013.02.12
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