>  今週のトピックス >  No.2578
債券から株式へ、投資マネーの大転換?
● グレート・ローテーションとは
  「グレート・ローテーション」という言葉をご存知だろうか。債券市場から株式市場へ「大転換」するマネーの流れを示した言葉で、最近、市場関係者の間で盛んに使われるようになった。確かに2月上旬の時点で、米ダウ工業株30種平均は5年4カ月ぶりに1万4,000ドル台を回復。日経平均株価も一時1万1,400円台に乗せ、4年4カ月ぶりの高値を付けた。
● 株式市場にしみ出すマネー
  流行語は時代の流れを鮮明に映し出す。2008年9月にリーマン・ショックが起きた後にはやったのが「質への逃避」という言葉。これは100年に1度と言われる金融危機の下、できるだけ安全な資産にマネーを逃がそうとする動きを端的に表していた。この間、最も買われたものが日米の国債と金だ。
  ここでは詳しい説明を省くが、債券が買われると債券価格が上昇し、金利は下がる。米国の長期金利はリーマン・ショック前の4%台から、2012年は一時1.5%を割り込む史上最低水準まで落ち込んでいた。それが最近は2%前後まで上昇してきている。
  米国債が売られる反動で買われているのが、前述の通り日米の株式だ。まるで米国債という氷河に閉じ込められていた投資マネーが、株式市場にしみ出しているかのようだ。
● 米経済の回復次第
  リーマン・ショック以降、外国為替市場ではいわゆる「安全通貨」「逃避通貨」として円が買われ超円高になってきた。最近の円安反転も、金融市場のリスク志向の高まりをよく映している。金の価格が対ドルであまり上昇しなくなっているのも同じことだ。
  結論的には1月半ばの「今週のトピックスNo.2558 円安・株高はどこまで持続するか?」と同じになってしまうが、このグレート・ローテーションが続くかどうかは米国経済の回復持続にかかっている。引き続きリスク要因は欧州の債務問題。それに大気汚染などの影響で停滞する中国経済の動向だ。
  市場関係者の多くは、まだ半信半疑ながらも、リスク投資の大きな流れに追随している。ただ、世界経済に何かマイナスなニュースが出てくると、それに反応して、この流れが巻き戻るリスクも捨てきれない。
2013.02.21
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