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延滞税や利子税、還付加算金等が14年ぶりに引下げへ
―平成25年度税制改正大綱より―
● 平成26年1月以後の延滞税等から適用
  平成25年度税制改正では、納税者にとって影響の大きい改正がある。それは、長引く超低金利の下で高すぎるとの批判が強かった税の滞納等に課される延滞税や、延納等に課される利子税を引き下げることである。平成11年度改正以来、14年ぶりの引下げとなる。併せて、国からの還付金等に付される還付加算金についても引下げを行う。
  これは、現在の低金利の状況に合わせて、事業者等の負担を軽減するために、割合を引き下げるもので、平成26年1月以後の期間に対応する延滞税等について適用される。
  延滞税は現行、法定期限の翌日から修正申告書を提出した日の翌日以後2ヵ月を経過するまでの期間は年「7.3%」、それ以降は年「14.6%」の割合で計算する。ただし、年「7.3%」の割合は、平成12年1月以後、年単位で適用し、年「7.3%」と「特例基準割合(前年の11月30日において日本銀行が定める基準割引率+4%)」のいずれか低い割合となっており、平成22年1月以後は「4.3%」となっている。
● 「特例基準割合」を変更して計算
  改正のポイントは、「特例基準割合」の計算では、銀行の新規の短期貸出約定平均金利をベースにして財務大臣が告示する割合に年1%を加算した割合に変更されていることだ。現在でいえば「2%」になる。
  今回の改正では、延滞税の割合は、各年の特例基準割合が年7.3%に満たない場合は、
  (1)  年14.6%の割合は、その特例基準割合に年7.3%を加算した割合
  (2)  年7.3%の割合の延滞税は、その特例基準割合に年1%を加算した割合
とする。
  次に、利子税の割合は、各年の特例基準割合が年7.3%に満たない場合には、その年中においては、
  (1)  下記(2)に掲げる利子税以外の利子税は、その特例基準割合
  (2)  相続税・贈与税に係る利子税は、これらの利子税の割合に、その特例基準割合が年7.3%に占める割合を乗じて得た割合
とする。
  また、還付加算金の割合は、各年の特例基準割合が年7.3%に満たない場合には、その年中においては、その特例基準割合とする。
  つまり、延滞金は14.6%から9.3%(現在の特例基準割合でいえば、以下同)に(納期限後1ヵ月以内は4.3%から3.0%)、還付加算金は4.3%から2.0%にそれぞれ引き下げられるわけだ。
  国税の見直しに合わせ、地方税の延滞金、還付加算金の利率も平成26年1月から引き下げられることになる。
※  「平成25年度税制改正大綱」については、国会を通過するまでは確定事項ではありません。
  
浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に「住基ネットとプライバシー問題」(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍「生命保険法人契約を考える」
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.html
  
2013.02.25
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