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税制改正で、国外財産に対する課税強化が実現か
● 国外財産に対する監視の目は厳しくなっている
  最近、国外財産に対する課税強化の動きが強まっている。以前から、100万円超の国外送金等については、金融機関に国外送金等調書の提出が義務付けられているが、平成24年度税制改正においてはそれに加えて、国外財産調書制度が新設された。その年の12月31日において、その価額の合計額が5,000万円を超える国外財産を有する場合は、その財産の種類、数量及び価額その他必要な事項を記載した調書を、翌年の3月15日までに、所轄税務署長に提出しなければならない(初回は、平成25年12月31日時点で有する国外財産が対象)。
  平成25年度税制改正大綱では、さらに相続、贈与における国外財産への課税強化として、いわゆる制限納税義務者(詳細は後述)に対する課税財産の範囲の拡大が予定されている。
  具体的には、
「日本国内に住所を有しない個人で日本国籍を有しないものが、日本国内に住所を有する者から相続若しくは遺贈又は贈与により取得した国外財産を、相続税又は贈与税の課税対象に加える」、としている。
● 実現すれば、平成25年4月1日から課税強化へ
  相続税、贈与税における納税義務者は、大きく居住無制限納税義務者、非居住無制限納税義務者および制限納税義務者の3つに分かれる(特定納税義務者を除く)。
  居住無制限納税義務者とは、「財産の取得時において日本国内に住所を有する者」で、財産の所在を問わず、国内財産も国外財産も全て課税対象とされる。
  非居住無制限納税義務者とは、「財産の取得時において日本国内に住所を有しないが日本国籍を有する者で、その者又はその相続若しくは遺贈に係る被相続人等がその相続の開始前5年以内のいずれかの時において日本国内に住所を有していたことがある場合」には、居住無制限納税義務者と同様、全財産課税となる。
  「財産の取得時に日本国内に住所を有しない者のうち、非居住無制限納税義務者に該当しない者」は制限納税義務者とされ、現行制度では国内財産のみが課税対象となり、国外財産には課税されない。それが、今回の税制改正が実現すれば、制限納税義務者であっても国外財産に課税されるケースが出てくることになる。
  なお、この改正は、「平成25年4月1日以後に相続若しくは遺贈又は贈与により取得する国外財産に係る相続税又は贈与税について適用する」、とされている。他の相続税基礎控除の縮小などと違い、改正時期が平成27年1月1日ではないため、ご注意頂きたい。
※  この記事は2月18日時点の情報をもとに作成しています。
「平成25年度税制改正大綱」については、国会を通過するまでは確定事項ではありません。
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村田 直(むらた・ただし)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士
大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
マネーコンシェルジュ税理士法人
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2013.02.28
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