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暦年贈与と相続時精算課税、改正後の使い勝手は?
● 暦年贈与、精算課税贈与ともに緩和の方向
  贈与税には、暦年贈与制度と相続時精算課税制度があるが、平成25年度税制改正において、この両制度に改正が行われそうだ。
  暦年贈与制度については、これまで単一の税率表で運用していたのだが、平成27年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る贈与税から、2種類の税率表に分かれる予定である。1つは、「20歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた財産に係る贈与税の税率」、もう1つは、それ以外の贈与税の税率である。大まかに言うと、前者の税率は引き下げられ、後者の税率は引き上げられる(ただし、最高税率はどちらも引き上げ)。
  一方、相続時精算課税制度については、その適用要件において見直しが行われる。現行の相続時精算課税制度は、贈与者である65歳以上の親から、贈与者の推定相続人である20歳以上の子(子が亡くなっているときには20歳以上の孫を含む)に対して、2,500万円までの財産はいったん無税で贈与できる制度である。相続時精算課税に係る贈与者が亡くなった場合には、その贈与はなかったものとして、贈与時の価額で相続財産に足し戻される。
  見直しが行われるのは、次の2点である。
  @ 受贈者の範囲に、20歳以上である孫を加える。
  A 贈与者の年齢要件を60歳以上に引き下げる。
  上記は平成27年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る贈与税について適用される。
● 生前贈与実行にはリスクも
  暦年贈与の税率が改正されれば、相続税と贈与税の税率差を利用しての直系親族間の贈与がより行いやすくなる。特に、孫への贈与は相続を1回飛ばすことができるため、より有利となる。ただし、財産の分散リスクがあるため、そのバランスを見ながら実行することが重要となる。
  また、相続時精算課税制度は、適用対象者が孫にまで拡大されるため、使い勝手が良くなる反面、いったん相続時精算課税を選択すると暦年贈与には戻れない、贈与時から値下がりした財産は相続税計算時に不利になる、などのリスクは依然として残っているため、適用には慎重な判断が必要である。
※  「平成25年度税制改正大綱」については、国会を通過するまでは確定事項ではありません。
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村田 直(むらた・ただし)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士
大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
マネーコンシェルジュ税理士法人
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2013.03.21
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