>  今週のトピックス >  No.2599
採用時の面接で質問してはいけないこと
● 応募者の適性・能力のみを選考基準にすること
  企業は、新卒であれ中途であれ従業員を採用する際には、ほとんどといっていいほど面接を行っているが、その際に質問してはいけない項目というものが、実はたくさんある。人事担当者だけでなく現場の担当者や経営陣など、社内で面接に関わる人は多いので、関係者は基本的なことをひととおり押さえておかないと、場合によっては、応募者から「就職差別を受けた」と騒がれてしまい、トラブルになる可能性もあるので注意が必要だ。
  とにかく、採用選考の基本的な考え方としては、応募者の基本的人権を尊重すること、応募者の適性・能力のみを選考基準にすることが大切である。これを機会に事例も含めて面接で質問してはいけない基本的な項目について確認しておきたいと思う。
● 両親の職業や愛読書も、聞いてはいけない
  面接を担当する人によっては話の流れの中で無意識のうちに、「(住んでいる、または出身の)○○町△△はどんなところですか?」「血液型は何型?」「尊敬する人物は?」「お父さんの職業は?」「愛読書は何ですか?」「結婚の予定は?」というような質問をしていることが結構あるのではないだろうか。
  しかし、これらの質問は基本的にNGである。その理由としてこれらの質問は、「応募者の適性・能力とは関係ない事柄」であり、そのことで採否を決定するのは公正とはいえないからである。法律においても、職業安定法や男女雇用機会均等法などで規定されているが、厚生労働省では、採用選考の際の質問として配慮してほしい項目として以下をあげているので確認しておいていただきたい(なお、応募用紙等に記載させることも同様)。
1.本人に責任のない事項
   本籍・出生地に関すること
家族に関すること(職業、続柄、健康、地位、学歴、収入、資産など)
住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近郊の施設など)
生活環境・家庭環境などに関すること
2.本来自由であるべき事項
   宗教に関する質問
支持政党に関する質問
人生観、生活信条に関する質問(作文も)
尊敬する人物に関する質問
思想に関する質問
労働組合、学生運動など社会運動に関する質問
購読新聞・雑誌、愛読書などに関する質問
3.その他
   身元調査などの実施(現住所付近の略図も身元調査につながる可能性も)
合理的・客観的に必要性の認められない採用選考時の健康診断の実施
  
庄司 英尚 (しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所 所長
社会保険労務士 人事コンサルタント
  福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/
  
  
2013.04.01
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