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「教育資金の一括贈与」制度を利用した信託商品が登場
● 教育資金の贈与限定だが、1,500万円まで非課税の信託商品
  3月29日、平成25年度税制改正が成立しました。その中で、一般の人たちから注目を集めそうなのが「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」。
  この制度は、直系尊属が、30歳未満の子や孫に対して教育資金としてお金を拠出し、信託銀行などの金融機関に預け入れた場合に1,500万円まで非課税になるというもの。
  4月に入ってから、さっそくこの制度を利用した教育資金贈与の信託商品の販売がいくつかの銀行で始まっています。4月8日現在で分かっているのは以下4行の商品です。
金融機関名 商品名
みずほ信託銀行 教育資金贈与信託
三菱UFJ信託銀行 教育資金贈与信託
三井住友信託銀行 教育資金贈与信託(愛称:孫への想い)
りそな銀行 りそなの「きょういく信託」
  ここでは、みずほ信託銀行の教育資金贈与信託を例に、商品概要を見てみましょう。
   ・  信託期間は受贈者が30歳になるまで
   ・  信託金額は5,000円以上1円単位で、受益者1名につき1,500万円まで
   ・  中途での追加信託も可能(累計1,500万円を超える場合は不可)
   ・  原則として中途解約はできない
   ・  信託設定時および信託期間中の事務・管理報酬はなし
   ・  教育資金は受贈者(孫など)から、教育資金として支払ったことを証明する領収書等を支払後1年以内に提出することで支払われる
   ・  塾や習い事など、学校等以外に支払う教育資金の支払いは500万円が限度
● 相続税対策としての活用も検討できる
  上記以外では、孫が小さいときなどの資金の引き出しについては、窓口の場合は親などの親権者が代理で引き出すか、孫名義の口座への振込が可能になっているようです(みずほ信託銀行の場合)。
  また、30歳時点で残ってしまった資金については、贈与税の課税対象ではありますが、現在の税制が将来も適用されていれば、110万円の暦年贈与が利用できます。
  子どもの学校費用は幼稚園から大学卒業まで、進学コースによっては1,000万円を超えると言われますが、この制度を利用することができれば、大きな負担軽減になります。そして、贈与で浮いた子どもの教育資金を、住宅資金や老後資金に利用することもできるでしょう。
  また、祖父母から見た場合には生前贈与により相続財産を減らせることはメリットです。税制改正では相続税の基礎控除の引き下げも盛り込まれており(平成27年から予定)、相続対策としても注目を集めそうです。
  しかし、教育資金贈与という視点で考えた場合、暦年贈与で110万円までの非課税限度額を利用する方法もありますし、都度必要なお金を渡すのであれば、そもそも贈与にはならないという事情もあります。今後の利用状況には注目ですね。
  
高橋浩史 (たかはし・ひろし)
FPライフレックス 代表(住まいと保険と資産管理 千葉支部)
日本ファイナンシャルプランナーズ協会CFP®
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
東京都出身。デザイン会社、百貨店、広告代理店などでグラフィックデザイナーとして20年間活動。その後、出版社で編集者として在職中にファイナンシャル・プランナー資格を取得。2011年独立系FP事務所FPライフレックス開業。
住宅や保険など一生涯で高額な買い物時に、お金で失敗しないための資金計画や保障選びのコンサルタントとして活動中。その他、金融機関や出版社でのセミナー講師、書籍や雑誌での執筆業務も行う。
ホームページ http://www.fpliflex.com
ブログ http://ameblo.jp/kuntafp/
  
  
2013.04.11
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