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文科省、非課税対象となる「教育資金」の詳細を明示
● 学校等の入学金や授業料は1,500万円まで非課税
  平成25年度税制改正では、相続税は課税強化されたが、贈与税は高齢者の保有する資産を現役世代に早期に移転させる狙いで、大幅に軽減されている。その目玉が「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税制度」の創設だ。同制度は、祖父母が子や孫に教育資金を贈与する場合、子や孫が30歳未満であれば、1,500万円(学校等以外に支払われるものは500万円)までは贈与税が非課税となる制度。
  その非課税の対象となる「教育資金」の詳細が3月30日に公布された文部科学省告示で明らかになった。
  文部科学大臣が財務大臣と協議して定めたもので、1,500万円まで非課税となる学校等に支払われる教育資金としては、(1)入学金、授業料、入園料、保育料、施設設備費、(2)入学又は入園のための試験に係る検定料、(3)在学証明、成績証明その他学生、生徒、児童、幼児、乳児の記録に係る証明に係る手数料及びこれに類する手数料、(4)学用品の購入費、修学旅行費、学校給食費その他学校等における教育に伴って必要な費用に充てるための金銭――が示された。
● 学習塾やバレエ教室は500万円まで非課税
  また、500万円まで非課税となる学校等以外の者に支払われる教育資金としては、教育のために支払われるものとして社会通念上認められるもので、(1)教育に関する役務の提供の対価、(2)施設の使用料、(3)スポーツ又は文化芸術に関する活動その他教養の向上のための活動に係る指導への対価として支払われる金銭、(4)前述の役務の提供や指導に対して使用する物品の購入に要する金銭で、役務の提供・指導者に直接支払われるもの、(5)学用品の購入費、修学旅行費、学校給食費その他学校等における教育に伴って必要な費用に充てるための金銭で、学生等の全部又は大部分が支払うべきものと学校等が認めたもの――が示された。
  文部科学省は、学校等以外の者に支払われる教育資金の具体例として、学習塾、家庭教師、そろばん、スイミングスクール・野球チームでの指導、ピアノの個人指導、バレエ教室、習字、茶道などに係る費用を挙げている。
● 祖父母の「孫への教育資金贈与非課税制度」の認知度は約86%
  ところで、電通が、関東1都6県に居住する小学生以下の孫のいる50歳以上の祖父母2,000人を対象に実施した「孫への教育資金贈与非課税制度に対する意識調査」結果によると、「孫への教育資金贈与非課税制度」について、「知っている」との回答が61.8%、「聞いたことがある」が23.7%となり、両者を合わせて85.5%と、祖父母の同制度に対する認知度が高いことが分かった。
  孫への贈与意向は、「贈与したい」(6.6%)と「贈与を検討してみたい」(37.9%)を合わせた「贈与意向あり」は44.5%と半数近くを占めた。贈与意向者の、孫への教育資金贈与希望額は、平均482万円となった。同調査での祖父の平均年収約464万円と同規模、また、祖父の小遣い10年分(約492万円=月4.1万円×12ヵ月×10年)ともほぼ同規模の金額となる。
  祖父母がサポートしたいと考えている孫の教育費は、「大学の費用」が最も多く(44.2%)、次いで「高校の費用」(26.2%)、「スポーツ・芸術など特殊な教育の費用」(19.8%)が続き、祖父母は、高等教育の学費に加え、学費以外の教育費もサポートしたいと考えている。
参考 :
文部科学省「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置について」
http://www.mext.go.jp/a_menu/kaikei/zeisei/__icsFiles/afieldfile/2013/04/01/1332772_1.pdf
電通ニュースリリース「電通、「孫への教育資金贈与非課税制度」に対する祖父母の意識を調査」
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2013/pdf/2013043-0401.pdf
  
浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に「住基ネットとプライバシー問題」(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍「生命保険法人契約を考える」
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.html
  
2013.04.15
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