> 今週のトピックス > No.2610 |
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「ヘリコプター・ハルヒコ」見事上昇なるか? | ||||||||||||||||||||||||||||||
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日銀は4月4日の金融政策決定会合で、2年間で2%の物価上昇率を目指す「量的・質的金融緩和」の導入を決めた。政策目標を“金利”から“マネーの量”に切り替え、マネタリーベース(日銀が市場に供給するお金の量)を2年間で倍増させる。下表のように、国債のほかETF(上場投資信託)やJ−REIT(不動産投資信託)などリスク資産も買い増す方針だ。この点について解説したい。
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![]() ● マネタリーベースの残高を2年で2倍に
マネタリーベースを増やすことで、市場に出回るお金の残高は2012年末の138兆円から、2013年末には200兆円、2014年末には270兆円に増加する見通しである。市場に出回るお金が増えることで金融が大きく緩和され金利が低下する。銀行は低金利で企業への融資が可能となり、その結果、設備投資などが拡大され、景気が上向くことになる。
金融緩和により、今後は預金金利が下がることが予想されるため、投資家は銀行に預金しておくより、株式へ投資した方が配当金を受け取ることができ(インカムゲイン)、株価が上昇することで大きく利益が出る(キャピタルゲイン)可能性もあると判断し、預金から株式に資金が流れた。その結果、日経平均株価は4月3日12,362円から4月8日13,192円の4日間で7%近く大きく上昇した。 また、金利低下により為替相場も大きく動いた。投資家は日本に預金しておくより、金利の高い国へ預金しておく方が投資効果が高くなると予想し、円を売って、ドル、ユーロ、豪ドルなどに資金をシフトした。その結果、円安、ドル・ユーロ・豪ドル高になった。 ![]() ● リスク資産の買い増し
今回の日銀の緩和策では、2013年のリスク資産の買い入れ額を、ETFは5,000億円から1兆円に、J-REITは100億円から300億円に拡大する予定である。これによって、株価、地価が上昇し、物価も上昇することが期待できる。
![]() ● 生保マネーは海外へシフト?
大胆な金融緩和や国債の買い入れ、リスク資産の買い入れを行う背景には、生保マネーを日本の株式や不動産にシフトさせる狙いもある。生命保険会社はバブル崩壊後に、株式や不動産で多額の損失を出したこともあり、現在もリスク商品に投資することには慎重で、日本国債中心の運用となっている。ところが、大胆な金融緩和策が発表されたことで、国債中心の運用では、実際の運用利回りが契約者に約束した予定利率より下回る「逆ざや」が拡大する懸念が出てきた。
国債の代わりの投資先として有力視されているのが、円安による為替差益も期待できる外国債券だ。生保の外国証券の運用残高は、今年1月末で約51兆円と前年同月比約14%増えている。 今後も安全性の高い米国債やドイツ国債の購入額を増やす見通しとなっている。 ![]()
この大胆な金融緩和策が海外では「ヘリコプター・ハルヒコ※」と呼ばれ、日本の経済を救済することになるだろうと評価されているようだ。
折しも、1989年はバブルがはじけた年、今年と同じ巳年である。当時の日銀総裁は澄田総裁だった。スミとクロはよく似ている。ハルヒコバブル崩壊とならないことを祈りたい。 ![]()
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2013.04.18 |
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