シニアだけでなく若い世代にも人気の沖縄。以前はシニアのセカンドライフ候補地として名前があがっていましたが、今や若年層のなかでも移住したいエリアとして人気を集めています。「温暖でのんびりしていて最高！」というイメージが強いのですが、実際に移住するとなると、目に見えない壁があったりします。

  神奈川で働いていた30代のKさんは、沖縄の離島で運命の出逢いがあり、結婚を決意。離島のペンションで調理師として転職を決めました。今までは会社の独身寮で暮らしていたため、離島で新居を探し始めました。
  離島はどちらかといえば過疎地域のため、空家はたくさんあります。家探しは簡単だと思っていましたが、すべての家主から貸借を断られてしまいました。その結果、離島を離れざるを得ないことに……。
  断られた理由は、「内地の人（本州から来た人）だから、いつか島を離れる可能性が高いだろう。そんな人には貸せない」ということでした。また、このような話は離島だけでしょ？と思いがちですが、沖縄本土（以後、本土）でも未だに内地の人には貸さないという家主が存在しているようです。

  観光で訪れた沖縄が気に入り、福岡から移住を決意した20代のH君。本土の中部、恩納地区でダイニングレストランに就職し、レストランのオーナーの紹介で無事にアパートを借りることができました。しかし、こんな筈ではなかったという思いが日々大きくなっているとのこと・・・。
  移住を決意した理由のひとつとして物価の安さをあげていたH君。たしかに安いものもありますが、生活雑貨や食材などは、以前暮らしていた福岡とあまり変わらないそう。また、雇用賃金の安さもネックに。「今の時給は700円。生活は厳しいです。沖縄を満喫する余裕はあまりないですね」と話します。
  そして新たな不安の種も生まれた様子。「先輩が骨折をしたのですが、通院手段はバスのみ。路線バスでは那覇市内へ行けないので空港リムジンバスを利用していたために、往復に3,000円もかかっていました」。
  万一、病気やケガを負ったときにも近くに大きな病院がなく、那覇市内まで通院しなければならないため、治療費はもちろんのこと交通費もかさむとのこと。これらのこともH君の不安を駆り立てる原因となっているようです。若い世代だからこそ医療保障への加入は必須だといえるのではないでしょうか？！

  沖縄に限らず、田舎暮らしをする場合、シニアの成功例が多く取り沙汰されていますが、若い世代との最大の違いは資金力。若年層はシニアと比べて貯蓄が少なく、収入を得ながら生活をしなければならないことが最大の違いであるといえるでしょう。
  実際に本土の地元スーパーを覗いてみると、物価はさほど安くはありません。アパートについては確かに家賃が安く、生活コストを抑えることは可能です。とはいえKさんのように貸して貰えないケースも多々あるようです。仕方なくウィークリーマンションに住むことになり、結局生活コストがあがってしまうことも……。
  都市部から地方都市に移住する場合、次のようなことをチェックするのがポイントです。

	・	自分と同世代の人の移住成功例を参考にする
	・	生活コストはいくらかかるのかをリサーチする
	・	今後の収入の見込みはいくらかを試算する
	・	環境だけでなく生活をする上での利便性を考慮する
	・	病院などの公共施設は近くにあるかをチェックする	など

  憧れの移住生活をするためには、まずは準備から着実に。相談を受けた場合は、しっかりとアドバイスしたいものですね。
  ちなみに、沖縄の離島に移住した著者の友人は、「近くに保険の相談をするところもなく、相談できる人もいない」とのことで、仕方なくネットでの情報のみで判断するそうです。結婚や出産などのライフイベントの変化があっても、保障内容はそのままになってしまっているそう。移住組の不安はつきないようです。

※	「なんくるないさー」は、沖縄の方言。「どうにかなるさ」という意味で使われることが多い。