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認知度低い「日本版ISA」、日証が特設サイトでPR
● 日本版ISAの「名前も内容も知っている」との回答はわずか6%
  少額投資非課税制度(日本版ISA:愛称NISA(ニーサ))がいよいよ来年2014年1月から始まる。同制度では、証券会社や銀行などの金融機関で、少額投資非課税口座を開設して上場株式や株式投資信託等を購入すると、本来20%課税される配当金や売買益等が非課税となる。購入できる金額は年間100万円まで、非課税期間は5年間だ。
  日本版ISAをきっかけとした投信市場の裾野拡大が期待されるが、その一般的な認知度はまだあまり高くないようだ。
  野村アセットマネジメントが3月に実施した「日本版ISAに関する意識調査」では、その認知度が低いことが明らかになった。
  調査結果によると、日本版ISAに関する事前の説明はないまま、その認知度を聞くと、78%が「知らない」と回答。「名前は聞いたことがあるが、内容までは知らない」が16%、「名前も内容も知っている」とする割合は6%にとどまり、日本版ISAの認知度は低いことが判明した。
  さらに、日本版ISAに対する利用意向を聞くと、「利用したい」(8%)、「検討したい」(16%)との回答は計24%程度だった。しかし、制度説明後に改めて利用意向を聞くと、説明前に「利用を考えていない」(25%)、「わからない」(50%)としていた回答の約18%ポイントが「利用・検討したい」に態度を変化させた。
  こうした結果をもとに、同社では今後は1,000万人規模の利用が見込まれるのではないかと試算している。
● 証券会社と銀行では、購入・利用できる商品に違い
  日本証券業協会(日証)では、ホームページ上に特設サイトを設けて、日本版ISAに関するQ&Aを掲載するなどして、認知度の向上、PRに努めている。
  Q&Aによると、少額投資非課税口座が利用できる証券会社や金融機関は、1人1社だけだ。例えば、証券会社に少額投資非課税口座を開設した場合、最初の4年間(2014年1月1日〜2017年12月31日まで)は、他の証券会社や銀行に口座を変更・開設することはできない。
  また、証券会社と銀行では、購入・利用できる商品に違いがあるので注意したい。証券会社では上場株式、ETF(上場投資信託)、リート(不動産投資信託)や株式投資信託等が、銀行では株式投資信託等が購入・利用できる。そこで、少額投資非課税口座を開設しようとする場合は、購入する上場株式や株式投資信託等の商品内容や購入先を十分に検討し、理解した上で、購入先の証券会社を選ぶ必要がある。
● 翌年に繰り越せない年間の非課税枠内の未使用分
  非課税枠は一人年間100万円の少額投資非課税口座だが、例えば、60万円しか使わなかった場合でも、残りの40万円の未使用分を翌年に繰り越すことはできない。また、上場株式を100万円で買い付け、数日後に売却した場合に、売却して空いた100万円の非課税枠を利用して、再度買付することはできない。ただし、翌年の1月以降であれば、新たな非課税枠により、100万円まで上場株式や株式投資信託等の買付ができる。
  そのほか、少額投資非課税口座では、上場株式や株式投資信託等の配当金や売買益等は非課税となる一方で、これらの売買損失はないものとされる。したがって、特定口座や一般口座で保有する他の上場株式等の配当金や売買益等との損益通算はできない。また、非課税期間5年間が終わると、少額投資非課税口座の上場株式等は、特定口座や一般口座などの課税口座に移り、その後の配当金や売買益等については課税されるので、注意が必要だ。
参照 :
野村アセットマネジメントの調査結果は↓
http://www.nomura-am.co.jp/corporate/press/pdf/H2504121.pdf
日本証券業協会のQ&Aは↓
http://www.jsda.or.jp/sonaeru/oshirase/files/qa.pdf
  
浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に「住基ネットとプライバシー問題」(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍「生命保険法人契約を考える」
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.html
  
2013.05.13
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