>  今週のトピックス >  No.2624
最近の保険行政と金融審議会WGの検討事項
T. 日本の保険行政の仕組み
  日本の保険行政は、従来から制度改善等に係る重要事項については、行政機関(大臣)からの諮問事項について調査審議する機関(審議会等)が意見等を取り纏めて報告し、これに基づく具体的な法的措置等が講じられてきた。以前は旧大蔵大臣の諮問機関であった保険審議会が役目を担っていたが、現在は、金融システム改革の中で省庁再編とともに金融庁所管の金融審議会が、内閣総理大臣、長官または財務大臣の諮問に応じて、保険を含む国内金融全般の重要事項を審議決定している。その詳細は、審議会が設置する分科会・部会そして個別のワーキング・グループ(以降、WG)により検討され、その都度審議会へ報告のもと議決される。
  近年の審議テーマ(諮問事項)は文末の表のとおりであるが、過去(昭和世代)の国内的な募集体制整備改善を中心とした展開から、最近の検討のベースは国際的見地での「保険業の在り方の見直し」と題する主な基本問題への取組みに変化している。
U. 「保険商品・サービスの提供等の在り方に関するWG」の検討状況 (〜H25.4.19開催分)
  昨年6月から現在も継続して開催されている、金融審議会による「保険商品・サービスの提供等の在り方に関するワーキング・グループ(WG)」では、同年4月の諮問事項に対応して、
   契約者の多様なニーズに応えるための保険商品やサービスの提供及び保険会社等の業務範囲の在り方
   必要な情報が簡潔で分かりやすく提供されるための保険募集・販売の在り方
の2点について、法制化(緩和)を含めた現状の規制全体の見直しを検討している。
  @では、国際競争力の強化を意識しながら現在の社会情勢の中で資金力の効果的な活用を模索している。具体的には、現物給付型保険や保険金等の直接(業者)支払サービス、不妊治療に係る保険、子会社等の関連サービス事業(介護事業・保育所)運営の取り扱いなどが検討されている。損保の分野では、巨大リスク等への官民共同行為の規制緩和なども論議の対象となっている。
  Aでは、顧客に対する一様な情報提供義務(契約概要・注意喚起情報等の配布説明)の履行や形骸化懸念のある顧客の意向把握(意向確認書面の交付等)について簡素化を要望すると同時に、一方では保険業法上の行為規制等の整備(一般的義務規定創設の検討)を図る方向にある。これらに対する商品特性別の適用除外規定の是非も論議された。
  そのほか、比較情報を取扱う乗合代理店や保険仲立人について、法的性質を明確化し、代理店に対するルールの整備と仲立人規制の緩和等が論点となった。同時に、グレーゾーンとなっている最近のインターネットによる保険比較サイトやその他の保険紹介行為、商品チラシ配布やテレマーケティング、アウトソーシング業務等については、手数料(報酬)との関連の中で、募集行為として販売時規制を適用する範囲を法制化する等の体制整備が課題とされた。
  いずれも基本問題に係る従来の部会や過去のWGからの継続検討課題であり、今後はTPP等も絡む国際化の流れに沿った重要問題として、その審議動向に注目したい。
2013.05.20
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