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新型・鳥インフルエンザ、政府の対応策は?
● 中国での感染に伴い、指定感染症に
  今年4月1日、WHOが、中国における新型の鳥インフルエンザA((H7N9)以下、鳥インフルエンザ))のヒトへの感染が確認されたと発表した。中国政府の発表では、パンデミック(爆発感染)につながる「ヒトからヒトへの感染」は確認されていないとしているが、ウイルスがヒトへの適応性を高めていることは事実であり、日本政府としても継続的に注意を呼びかけている。
  また、国内での患者発生に備え、医療の提供体制や検疫体制を整えるべく、5月6日付けで「同インフルエンザを指定感染症として定める等の政令」が施行された。
  では、新型インフルエンザがパンデミックを迎えたとして、国はどのような対策をとろうとしているのか。また、一般国民の社会生活にはどのような影響がおよぶのか。
  政府は平成17年に「新型インフルエンザ対策行動計画」を策定、平成21年2月には抜本的な改定を行なった。ちなみに、その直後の同年4月、新型インフルエンザのA/H1N1がメキシコから始まって世界的な大流行に至り、わが国でも発生後1年余りで約2,000万人が罹患したとされる。人口10万人あたりの死亡率は0.16と諸外国と比べ低い水準にとどまったが、一時的・地域的に医療資源・物資のひっ迫などが見られ、社会に混乱が及んだことは記憶に新しい。
● 具体的な対応策と正確な情報提供がカギ
  こうした経験に立ったうえで、平成23年に再び「行動計画」の改定が行われた。同計画では、過去のデータから全人口の25%が新型インフルエンザに罹患すると想定したうえで、全事業所の従事者の4割が欠勤、事業休止にともなう物資の不足、物流の停滞等が生じ、経済活動が大幅に縮小する可能性があるとしている。さらに、学校や保育施設等の臨時休業、各種集会の中止、外出の自粛などが生じることも想定されており、国民生活全体に大きな影響が及ぶのは必至とされる。
  上記のような状況設定のもと、行動計画では、国内未発生期に始まり、海外発生期、国内発生早期、国内感染期、小康期に至るまでの段階ごとに、国や自治体、関係機関による連携体制や具体的な対応策を打ち出している。
  例えば、国民への情報提供に関しては、海外発生期の段階から都道府県・市町村にコールセンターを設置し、国の作成したQ&Aに基づいて住民からの一般的な問い合わせに対応するとしている。過去の感染症例を見ても、国民の間に中途半端な知識で流布することで、様々な風評被害が生じやすい。これを早い段階から防ぐことは、その後の地域レベルでの対策をスムーズに進めることができるかどうかを左右することにもなる。
  国民にとって気になる課題の一つが「ワクチンの確保・摂取体制」だろう。ワクチンには「プレパンデミックワクチン」と「パンデミックワクチン」の2種類があり、前者は新型以前の鳥インフルエンザウイルスを基に製造されるもの、後者は新型発生後にそのウイルスを基に製造される。従って、前者と後者の間には一定のタイムラグが発生する可能性があり、前者と後者をどういう手順で摂取していくかという情報提供も必要になってくる。
  今回の新型についても、内閣府や厚労省のHPなどを通じ、早期から情報の蓄積を行なっていくことが求められる。
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田中 元(たなか・はじめ)
介護福祉ジャーナリスト。群馬県出身。立教大学法学部卒業後、出版社勤務を経てフリーに。高齢者介護分野を中心に、社会保障制度のあり方を現場視点で検証するというスタンスで取材、執筆活動を展開している。主な著書に、「2012年改正介護保険のポイント・現場便利ノート」、「認知症ケアができる人材の育て方」(以上、ぱる出版)、「現場で使える新人ケアマネ便利帖」(翔泳社)など多数。
  
2013.05.30
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