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不妊治療費を保障する医療保険解禁へ一歩前進
  5月17日の新聞各紙に、少子高齢化に対応した保険商品・サービスについての、金融審議会の報告書案が報道されました。その中には、不妊治療費用を保障する医療保険の解禁が盛り込まれ、より自分の生活に合った保険を選べる日が一歩近づいたようです。
● 経済的負担が大きい不妊治療費
  厚生労働省「平成23年人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、第1子出生時の母親の平均年齢は平成23年で30.1歳と、毎年上昇する傾向にあります。晩産化に伴って、妊娠や出産時のリスクは高まると言われていますが、高額になりがちな不妊治療費は、子供を望む夫婦にとって経済的に大きな負担になります。
  NPO法人Fineの調査「不妊治療の経済的負担に関するアンケート Part2」によると、不妊治療の通院を始めてからの治療費総額は「100万〜200万円未満」が全体の24.8%と最も多く、次いで「10万〜50万円未満」18.8%、「50万〜100万円未満」17.6%となっています。
● 費用軽減のための公的な助成制度も
  体外受精・顕微授精の特定不妊治療は健康保険の対象外のため、治療費の一部を助成し、経済的負担を軽減する制度として「特定不妊治療助成制度」があります。都道府県・指定都市・中核市が事業主体となり、指定された医療機関で治療を受けることになります。
  助成の対象者は「特定不妊治療以外の治療法によっては妊娠の見込みがないか、又は極めて少ないと医師に診断された、法律上の婚姻をしている夫婦」とされ、助成費は1回の治療につき15万円まで。初年度は年3回、翌年度以降は年2回を限度に通算5年、合計10回まで助成されます。ただし、夫婦の所得額(合算)730万円未満の所得制限があるなど、助成についての一定のハードルも設けられています。
  また、健康保険組合によっては、一定の限度額を決めたうえで、特定不妊治療に対する給付を行っているケースもあります。
  しかし、助成制度を利用することができたとしても、その全額を賄うことは難しいのが現状で、出産年齢の上昇とともに不妊治療は今後も増えることが予想されています。不妊治療費用を保障する保険商品が実現するには、もうしばらく時間がかかると思われますが、民間保険への期待は大きなものがありそうです。
  
高橋浩史 (たかはし・ひろし)
FPライフレックス 代表(住まいと保険と資産管理 千葉支部)
日本ファイナンシャルプランナーズ協会CFP®
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
東京都出身。デザイン会社、百貨店、広告代理店などでグラフィックデザイナーとして20年間活動。その後、出版社で編集者として在職中にファイナンシャル・プランナー資格を取得。2011年独立系FP事務所FPライフレックス開業。
住宅や保険など一生涯で高額な買い物時に、お金で失敗しないための資金計画や保障選びのコンサルタントとして活動中。その他、金融機関や出版社でのセミナー講師、書籍や雑誌での執筆業務も行う。
ホームページ http://www.fpliflex.com
ブログ http://ameblo.jp/kuntafp/
  
  
2013.06.06
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