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マイナンバー法が成立、平成28年1月から運用開始
● 平成28年1月から社会保障給付や納税に利用
  国民全員に番号を割り振り管理する「共通番号(マイナンバー)法」が5月24日、参院本会議で可決、成立した。一部の法律を除き、公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。同法は、個人番号及び法人番号を活用した効率的な情報の管理、利用及び迅速な情報の授受、手続きの簡素化による国民の負担軽減などが目的。同法の施行に伴う関係法律の関連整備等法も同日成立し、これにより、年金などの社会保障給付や納税などの情報を一つの個人番号で管理する制度が、平成28年1月からいよいよ始まる。
  今後、国民一人ひとりに割り振る「個人番号」を住民票の記載事項に追加し、平成27年10月から、市町村が番号通知カードを郵送する。個人番号は氏名、性別、生年月日、住所(4情報)、住民票コード等をあわせて住基ネットで取り扱う本人確認情報の一つとして位置づけられる。
  平成28年1月からは、個人番号等の情報が入ったICチップ入りの「個人番号カード」が市町村から希望者に配布され、個人番号で年金の相談や照会ができるようになる。
  さらに平成29年1月からは、行政機関が個人番号を利用して個人情報をやり取りするシステムが稼働する。例えば、行政窓口で児童手当などの申請に必要だった添付書類の提出が段階的に不要となったり、税分野では添付書類なしで確定申告が可能になる。一方で、自己の個人番号に係る個人情報がどのように提供されたかをインターネット上で確認できる「マイ・ポータル」の運用も開始される。
● 今後は医療や民間などへの利用拡大が焦点
  法人番号については、国税庁長官が番号を指定し通知する。法人等の名称、所在地等と併せて法人番号を公表する。国税庁長官は、法人番号の指定を行うために、法務大臣に商業登記法による会社法人等番号その他の登記簿に記載された事項の提供を求めることができる。行政機関の長等は、特定法人情報の授受の際、法人番号を通知して行う。法人番号については、利用範囲の制限等がなく、民間でも自由に利用できる。
  なお、今回のマイナンバー法では、個人番号の利用範囲が社会保障や税などの行政分野に限定されているが、法附則において、法施行後3年をめど(平成30年10月)に、他分野でも活用することを検討するとしている。
  今後は、今回認められなかった医療や民間などでの利用拡大がどのようになるのかが大きな焦点となりそうだ。医療や民間に利用拡大されれば、医療の効率化や住宅ローン手続きの簡素化などが期待できる。
参照 :内閣官房:社会保障・税番号制度
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/index.html
  
浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に「住基ネットとプライバシー問題」(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍「生命保険法人契約を考える」
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.html
  
2013.06.10
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