>  今週のトピックス >  No.2643
「ブラック企業」と社名公表されないための注意点
● ブラック企業の評判は、取引停止に発展することも
  自民党は、「ブラック企業」について企業名を公表する措置を設けることを政府へ提言する予定である。ブラック企業に関するメディアの報道は増加傾向で、さまざまな人が興味関心を抱いていることは確かである。一度ブラック企業であるという評判がたってしまうと、その後応募者の減少など採用活動が思うようにいかなくなり、更に大手企業から取引停止を宣言されたりするケースもあるので、今まで以上に注意してマネジメントしていかなければならない。
  学生や若者向けには、ブラック企業に就職しないためのセミナーを開催している団体もあり、労働者側も自衛する動きが活発になっている。インターネットの発達により情報の拡散スピードは、思っている以上に速く、法律に違反するような働かせ方をしていれば、社内の労働環境の実態などはネットを通じてすぐに暴露されてしまうのが現状である。
● ブラック企業とは? その特徴を理解する
  一般的に「ブラック企業」とは従業員に対して、極端な長時間勤務など労働法や関係諸法に抵触する可能性があるグレーゾーンな条件での労働や、違法性の高い営業行為を意図的・恣意的に強いたり、いわゆるパワーハラスメントを常套手段として本来業務とは無関係な部分での非合理的負担を強制し、それを改善しない体質を持っている企業のことをいう。それゆえに入社を勧められない、あるいは早期の退職が勧奨されるような企業を総称する言葉が「ブラック企業」であり、現在では若者に限らず幅広い世代に認知されつつある。
● 長時間労働の是正が何よりも重要
  今後、正式に「ブラック企業」と認定され企業名を公表されないようにするためだけでなく、「あの企業は、ブラック企業らしい」というような評判がたたないようにするためには、まずは労働環境を改善することが重要である。その改善のポイントは、まず第一に「長時間労働の是正」、そして「労働基準法に違反する項目の是正」と「パワハラ体質の改善」という3つが挙げられる。
  特に「ブラック企業」と呼ばれる企業には、「労働時間が異様に長い」というわかりやすい特徴がある。また、長時間労働の問題点として、残業してもその分の賃金が支払われない「サービス残業」化していることが挙げられる。その他にも過重労働により過労死などの問題が起きれば労災認定され、企業が責任を問われる可能性も高まる。各企業はまずは長時間労働を是正し、労働関係諸法令の違反項目をなくすことに全力を注ぐことが何よりも重要である。
  
庄司 英尚 (しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所 所長
社会保険労務士 人事コンサルタント
  福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/
  
  
2013.6.24
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