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初めて50%を超えたICT利用の所得税申告書提出人員
● 贈与税の申告ではICT利用が60%増加
  平成24年分所得税等の確定申告では、所得税の申告書提出件数が2,152万5,000件で4年連続の減少となり、過去最高だった平成20年分(2,369万3,000件)からは9.2%下回っているが、こうした2,000万人を超える納税者数への対応に国税庁は、確定申告の基本方針として「自書申告」を推進、そのためのICT(情報通信技術)を活用した施策に積極的に取り組んでいる。
  国税庁のホームページ上で申告書が作成できる「確定申告書等作成コーナー」やe−Tax(国税電子申告・納税システム)など、ICTを利用した所得税の確定申告書の提出人員は全体で1,107万1,000人にのぼり、平成23年分より3.6%増加。所得税の確定申告書の提出人員に占める割合は51.4%と初めて過半数に達した。
※グラフをクリックすると別画面で大きく表示されます。
  平成24年分からはe−Taxでの申告も可能になった贈与税の申告でも、提出人員43万7,000人のうち48.8%(21万3,000人)がICTを利用、前年分から60.9%の大幅増加となっている。
● 所得税申告書提出の4割近くがe−Tax利用
  署でのICT利用は、署のパソコンで申告書を作成して「e−Tax」が451万7,000人、同「書面での提出」が36万1,000人の計487万8,000人と前年分に比べ0.7%増加。自宅などでのICT利用は、「HP作成コーナーで申告書を作成して書面での提出」が261万2,000人、「同e−Tax」が63万7,000人、「民間の会計ソフトで申告書を作成してe−Tax」が294万5,000人の計619万4,000人で同5.9%増となり、ともに順調に増加している。
  一方、全国拡大後9回目の確定申告となるe−Taxは、(1)最高3,000円の税額控除、(2)添付書類の提出省略、(3)書面提出に比べ還付金を早期還付、などのメリットを積極的に広報するなど普及拡大に努めた結果、e−Taxでの所得税の申告書提出件数が、前年の787万件から809万9,000件へと2.9%増加。これは、所得税の確定申告書の提出人員の4割近く(37.6%)がe−Taxを利用したことになる。
  このように、ICTを活用した施策を推進する一方で、今年で9回目となる閉庁日における申告相談を2月24日と3月3日の日曜日に、229税務署を対象に、税務署のほか合同会場や広域センターにおいて実施。これらの会場における両日の相談件数は前年比11.2%増の19万4,000件、申告書収受件数も同7.7%増の28万1,000件と、ともに増加し、閉庁日対応の効果が十分にうかがえる結果となった。
  
浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に「住基ネットとプライバシー問題」(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍「生命保険法人契約を考える」
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.html
  
2013.06.24
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