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国民年金保険料の納付率が僅かながら改善
● 平成25年3月末現在の納付率は59.0%
  6月24日、厚生労働省から平成25年3月末現在の国民年金の保険料納付率が発表された。
  平成24年4月分から平成25年3月分までの保険料の納付された月数を集計した「現年度分の納付率」は、59.0%(対前年度比+0.3ポイント)と、前年度より若干改善されたものの、日本年金機構が目標とした60%には未達となった。
  このほか、「平成22年度分の最終納付率」、「平成23年度分の納付率」が発表された。平成22年度分の最終納付率は64.5%で、22年度末59.3%から5.2ポイント上昇。平成23年度分の納付率は62.6%で、23年度末58.6%から3.9ポイント上昇した。これは、保険料は納期限から2年以内であれば遡って納付が可能であり、2年経過したところで最終的な納付率が判明するためである。
  第2号被保険者、第3号被保険者の国民年金保険料は、第2号被保険者の厚生年金保険料に含まれ、ほぼ100%徴収されている。保険料未納が問題となるのは、自分で保険料の納付手続きをする必要がある第1号被保険者である。
● 加入対象者の約95%が保険料を納付
(厚生労働省資料より)
  公的年金加入対象者全体(6,746万人)でみると、未納者数(過去24カ月、全く保険料を納めていない人)は、平成24年度末で296万人と第1号被保険者の約16%を占める。これに未加入者9万人を合わせると、対象者の約5%(4.52%)である。つまり、保険料を納付している人は、保険料を免除、又は猶予されている人を含むと約95%となる。
  公的年金制度は、納付実績に応じて年金額が決まるので、未納期間分については年金給付が生じず保険財政の負担はない。したがって、未納の人がいても制度が崩壊するようなことはない。
● 「未納」と「猶予」「免除」では、将来の受給は大きく異なる
  厚生労働省の「平成23年国民年金被保険者実態調査」によると、未納者が国民年金保険料を納付しない理由は、「保険料が高く、経済的に支払うのが困難」が74.1%と最も高くなっている。しかし、未納者のうち世帯の総所得金額が1,000万円以上の者であっても、55.8%が「経済的理由で支払うのが困難」としている。必ずしも低所得者に集中しているわけではない。また、生命保険や個人年金等に加入している者の割合は49.6%であることから、自分の老後のために自力で資産形成を図っていると推測される。
  未納者の増加は、将来の低年金、無年金者の増加につながるだけでなく、若年期において障害を被っても障害基礎年金を受給できない、死亡しても残された遺族に遺族基礎年金が支給されない、という事態が考えられる。
  経済的な理由から保険料を払えない場合は、納付の免除制度や猶予制度(学生納付特例、若年者納付猶予)が用意されている。全額免除期間であっても、老後に国庫負担分に相当する老齢基礎年金の2分の1は受給できる。これらの制度を活用すれば、障害・遺族基礎年金が支給されるほか、猶予期間は老齢基礎年金の受給資格期間に算入されるなど、未納とは扱いが大きく異なる。
参照 :
日本年金機構:
http://www.nenkin.go.jp/n/www/index.html
厚生労働省「平成24年度の国民年金保険料の納付状況と今後の取組等について」:
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r985200000356df.html
  
古賀輝行(こが・てるゆき)
古賀社労士・FPオフィス 代表
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E-mail:kogasrfp26-22@ae.auone-net.jp
1951年2月22日生まれ(61歳)。損害保険会社に26年間、生命保険会社に12年間勤務後、2011年退職を機に個人事務所「古賀社労士・FPオフィス」を立ち上げる。
客先企業の顧問社会保険労務士としての業務のほかに、ファイナンシャル・プランナー(FP)として、ライフプラン、生命保険、社会保険の相談業務やセミナー講師を行っている。
  
  
2013.07.01
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