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物価連動国債、10月に5年ぶり発行再開 | |||||||||||||
財務省は、10月をメドに2008年8月以来約5年ぶりに物価連動国債を発行すると発表した。今年度は10月から年2回、3,000億円ずつ合計6,000億円を発行する予定である。
● 過去の発行状況
物価連動国債は2003年度から2008年度まで累計約10兆円が発行された。その後、2008年には金融危機や景気低迷で元本割れを懸念した投資家が購入を見送り、買い手が減ったため、発行を中止していた。
しかし今年度に入り、日銀が物価上昇率2%を目指して大胆な金融緩和に乗り出すなど、物価上昇への期待が高まっていること、海外投資家の需要があるとみたことから発行を再開することになった。 ● 物価連動国債の商品概要
通常の固定利付国債は、発行時の元本(元金額)が償還時と同一(途中売却の場合には元本の増減あり)であり、利率もすべての利払いにおいて同一である。これに対し、物価連動国債は元本が全国消費者物価指数(CPI)に連動して増減する。すなわち、物価連動国債の発行後に物価が上昇すれば、その上昇に応じて元本(想定元本)や利息が増える仕組みとなっている。
例えば、元本100万円の物価連動国債(表面利率3%)を購入後、CPIが2%上昇した場合、1年後の想定元本は、 100万円×2%+100万円=102万円となり、利子は102万円×3%÷6月/12月=15,300円となる(国債は1年に2回利子が支払われる。下図参照)。 反対に、CPIが下落した場合には元本は減っていき、利子も減ってしまうことになる。なお、2008年8月までに発行された物価連動国債は、満期まで保有していても元本の保証はなかったが、今回は満期まで持ち続ければ物価が下がっても元本は保証されるのが大きな特徴である。 将来のインフレリスクを想定して金融商品を選択する場合、株式や投資信託、金などが考えられるが、これらは元本保証がないのが最大の欠点である。今回発行される物価連動国債は、途中で売却した場合には元本の保証はないが、償還まで保有し続ければ元本が保証される点は、選択肢の一つに加えることもありだろう。
(この記事の内容は7月16日時点のものです。なお、当資料は客観的情報提供を目的としており、投資等の勧誘または推奨を目的としたものではありません。)
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2013.07.18 |
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