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精神障害の労災認定件数が475件と過去最多に
● 精神障害の支給決定件数は、3年連続で過去最多を更新
  厚生労働省は6月21日、平成24年度の「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」を取りまとめて、公表した。厚生労働省では、過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスなどが原因で発病した精神障害の状況について、平成14年から、労災請求件数や、「業務上疾病」と認定し労災保険給付を決定した支給決定件数などを年1回、取りまとめている。
  調査結果によると、精神障害の請求件数は、平成24年度は前年の1,272件から15件減少して1,257件となった一方で、支給決定件数については、前年の325件から150件増加の475件となり、過去最多となった。
● 精神障害の労災認定件数は、30歳台が最も多い
  精神障害の労災認定された人を年齢別に見ていくと、「30〜39歳」が最も多く149人。次いで、「40〜49歳」が146人となっている。業種別(大分類)に見た場合、「製造業」が最多で93人、次いで「卸売業、小売業」が66人、「運輸業、郵便業」と「医療、福祉」が52人、「情報通信業」が35人、「宿泊業、飲食サービス業」が30人と続いている。
  出来事別の支給決定件数は、「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」59件、「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」55件、「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」51件の順となっている。
● 現場で起こる事例を含めたパワーハラスメント研修を
  精神障害の出来事別の支給決定件数の中でも「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」は、前年より認定件数も増加していることから、各企業としては今まで以上に具体的なパワハラ対策を講じるなど、リスクを回避しておかなければならない。
  パワハラに関する社内研修や規程の整備はいうまでもなく、もう1歩掘り下げた工夫をすることが求められる。例えば、一般従業員にポイントだけをわかりやすくまとめた簡易なリーフレットを配布したり、管理職向けには通常の会議等の際に厚生労働省等で作成しているパワハラ予防のパンフレットを配布することで、パワハラが引き起こす問題について理解を深めてもらうのも1つの方法である。その上で、現場で起こる事例を含めるなど少し掘り下げたパワーハラスメント研修を、階層別に分けて実行することができればベストである。
  
庄司 英尚 (しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所 所長
社会保険労務士 人事コンサルタント
  福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/
  
  
2013.07.22
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