>  今週のトピックス >  No.2666
若い世代の持ち家率は減少傾向
● 30歳代の持ち家率の落ち込みが大きい
  2012年の国土交通白書が発表され、30歳代の若い世代の持ち家率が、1983年から2008年の25年間で大きく減少したことが分かりました。
  白書によると、全年齢平均の持ち家率は1983年の71.0%から2008年には61.1%と約10ポイント減少し、その間およそ60%程度で推移。しかし、30〜39歳の持ち家率を見ると、1983年に53.3%でしたが、2008年には39.0%と、約14ポイントの低下と他の世代に比べて減少幅が大きくなっています。
  しかし、東京圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)に限ってみると、30歳代の持ち家率は、1983年から1998年にかけて46.0%から31.3%に下がったものの、2008年には36.8%まで上昇するなど持ち直しの傾向も見られます。
● ライフスタイルの変化や経済的な事情も
  東京圏の持ち家率上昇傾向の分析として、同白書によれば、1990年代半ばから2000年代半ばにかけて、東京圏において注文住宅・分譲住宅などの持ち家の新設着工戸数が毎年25万戸前後と高水準に推移してきたことを挙げており、住宅購入ニーズにうまくマッチしていたことが推測されます。
  また、東京圏の持ち家率上昇傾向の要因として、住宅ローン金利の低下も考えられそうです。住宅ローン金利は、過去に変動金利で8.5%を記録したこともありますが、その後低下傾向が続き、変動金利は2.475%(店頭金利)、長期固定金利のフラット35の最低金利が2.05%と低い水準です(2013年7月現在)。
  全体として持ち家率減少傾向の要因としては、従来のようなライフイベントモデルが崩れつつあることも影響がありそうです。学校を卒業後、正社員での就職、結婚、出産、住宅購入といった典型的なライフイベントは、ライフスタイルの多様化とともに崩れつつあり、さらに若い世代の就職難や非正規雇用者割合の増加など、経済的な不安から結婚をためらう単身者が増えていることも、持ち家ニーズが薄れている原因の一つと言えるかもしれません。
  2014年4月の消費税増税を控え、住宅ローン控除の拡大、住宅購入者向けの現金給付制度など、増税の影響を抑える政策も予定されています。
  はたして今後も持ち家率が低下し続けるのか、注目していきたいですね。
  
高橋浩史 (たかはし・ひろし)
FPライフレックス 代表(住まいと保険と資産管理 千葉支部)
日本ファイナンシャルプランナーズ協会CFP®
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
東京都出身。デザイン会社、百貨店、広告代理店などでグラフィックデザイナーとして20年間活動。その後、出版社で編集者として在職中にファイナンシャル・プランナー資格を取得。2011年独立系FP事務所FPライフレックス開業。
住宅や保険など一生涯で高額な買い物時に、お金で失敗しないための資金計画や保障選びのコンサルタントとして活動中。その他、金融機関や出版社でのセミナー講師、書籍や雑誌での執筆業務も行う。
ホームページ http://www.fpliflex.com
ブログ http://ameblo.jp/kuntafp/
  
  
2013.08.01
前のページにもどる
ページトップへ