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平成25年度税制改正で通達、生産等設備の範囲を明確化
● 本店、寄宿舎等の建物等は該当せず
  国税庁はこのほど、平成25年度税制改正に関連して、「法人税基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)」を公表し、同年度改正で創設された生産等設備投資促進税制や所得拡大促進税制などの取扱いを示した。
  生産等設備投資促進税制については、法律等で規定されていなかった生産等設備の範囲を明確にした。また、生産等設備には該当しない本店と該当する店舗を一棟の建物で共用する「共用資産」は、全てが生産等設備に該当することを明らかにしている。
  通達によると、生産等設備とは、例えば、製造業を営む法人の工場、小売業を営む法人の店舗、自動車整備業を営む法人の作業場のように、その法人が行う生産活動、販売活動、役務提供活動その他収益を稼得するために行う活動(生産等活動)の用に直接供される減価償却資産で構成されているものをいい、本店、寄宿舎等の建物、事務用器具備品、乗用自動車、福利厚生施設のようなものは、該当しないとして生産等設備の範囲を明確化した。
● 「共用資産」は、全てが生産等設備に該当
  さらに、一棟の建物が本店用と店舗用に共用される場合など、減価償却資産の一部が法人の生産等活動の用に直接供されるもの(共用資産)については、その全てが生産等設備になることを併せて明らかにした。また、継続適用を条件として、法人が共用資産を生産等活動の用に供される部分とそれ以外の部分に合理的に区分し、これに基づいて生産等資産の取得価額の合計額等を計算することを認めることを明らかにしている。
  そのほか、適用年度において取得等をした国内の事業の用に供する生産等資産で、その適用年度終了の日に有するものの取得価額の合計額と比較する「償却費として損金経理をした金額」には、除却損または評価損の金額のうち損金の額に算入されなかった金額など、基本通達7−5−1または7−5−2の取扱いにより償却費として損金経理をした金額に該当するものとされる金額は含まれないことを留意的に明らかにしている。
  なお、生産等設備投資促進税制は、企業が平成25年4月1日から平成27年3月31日の間に取得した国内の事業に使用する生産設備等への総投資額が一定の基準を満たした場合、その取得額の30%の特別償却か3%の税額控除(当期の法人税額の20%を限度)の選択適用ができる制度。総投資額が、その企業の当期の減価償却費を上回り、さらに前年度の投資額に比べ10%以上増えていることが、一定の基準となる。
● 出向の場合の給与等支給額の取扱い
  所得拡大促進税制は、「雇用者給与等支給増加額≧基準雇用者給与等支給額×5%」などの3要件を全て満たせば、雇用者給与等支給増加額の10%の税額控除ができる制度だが、通達では、(1)他の者から支払を受ける金額の範囲、(2)出向法人が負担する給与負担金の2項目が新設された。
  (1)では、他の者から支払を受ける金額について、例えば、法人の使用人が他の法人に出向した場合に、その出向者に対する給与を出向元法人が支給することとしているときに、出向元法人が出向先法人から支払を受けた給与負担金などが含まれ、判定に係る給与等支給額から控除されることを明らかにしている。
  また、(2)では、支出側の出向先法人ではその給与負担金は国内雇用者に対する給与等支給額に含まれることを明らかにしている。
  
浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に「住基ネットとプライバシー問題」(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍「生命保険法人契約を考える」
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.html
  
2013.08.05
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