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厚労省、高額療養費の自己負担限度額引き上げの方向に
● 社会保障制度改革国民会議でも言及
  一部報道にあるように、厚生労働省では高額な医療費がかかったときに還付される高額療養費の自己負担限度額を引き上げる方針を固めた模様です。
  ただし一律に限度額を引き上げるのではなく、70歳未満の高所得者に対する改正です。
  一方、低所得者に対しては限度額を引き下げることになっており、負担が軽くなるとのことです。つまり、取れるところからはしっかりと徴収し、取れないところからはそれなりに……というのが今回の改正であり、2014年度から導入を目指しているようです。
  折しも8月2日に開催された第19回「社会保障制度改革国民会議」でも、高額療養費制度の改正について言及しており、低所得者への配慮を前提としたうえで、「高額療養費の所得区分について、よりきめ細やかな対応が可能となるよう細分化し、負担能力に応じた負担となるよう限度額を見直すことが必要」としています(配布資料1−2 各論部分(医療・介護分野)(案)より)。
  そもそも高額療養費とは、月のはじめから月の終わりの1カ月間の医療費が一定の金額を超えた場合に還付してくれるという制度。年齢や所得にあわせて支払う医療費の上限が異なっているのも特徴です。
  70歳未満の所得水準は、月収53万円以上の上位所得者、一般、住民税非課税の低所得者と3つに別れており、上位所得者の負担限度額は150,000+(医療費−500,000円)×1%、一般は80,100円+(医療費−267,000円)×1%、低所得者は35,400円となっています。
● 公的医療保険改正は、民間の医療保険の見直しチャンス
  現時点では具体的な引き上げ額は明示されていませんが、高所得者(=上位所得者)として想定されるのは40歳代から50歳代ではないでしょうか。この年代は、子どもの教育費や住宅ローンなどを抱えていることが考えられ、セカンドライフへの準備もしなくてはならない年代です。高額療養費の負担限度額の引き上げが実施されれば、家計に大きな痛手を与える可能性は大。そのためにも、しっかりと準備しておかなくてはなりません。
  今一度、現在お客さまが加入されている医療保険や終身保険等の入院日額等の給付額はお客さまに合っているでしょうか? もし不足していると感じられているのなら、いくら上乗せすればご安心いただけるのか、それとも新たに加入をお勧めすべきかを見極めましょう。
  また、40歳代から50歳代の場合、体況上の問題で新たに保険に加入することが難しいケースもあります。その場合には、引受基準緩和型や無選択型のものをお知らせするといいでしょう。
  いずれにしても保険は定期的な見直しが欠かせません。高額療養費制度改正などのニュースをきっかけに、加入されている保険を見直すよう、お客さまに提案されてみてはいかがでしょうか?!
  
飯田 道子(いいだ・みちこ)
海外生活ジャーナリスト/ファイナンシャル・プランナー(CFP)
  金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっている。主な著書には、「宅建資格を取る前に読む本」(総合資格)、「介護経験FPが語る介護のマネー&アドバイスの本」(近代セールス社)などがある。
  海外への移住や金融、社会福祉制度の取材も行う。得意なエリアは、カナダ、韓国など。
  
2013.08.08
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