>  今週のトピックス >  No.2672
金融リテラシー向上のために
● 金融リテラシーとは?
  Literacyとは、元々は「書き言葉を、作法にかなったやりかたで、読んだり書いたりできる能力」を指していた用語で、日本語では元来「識字」と訳されてきたものである。
  今話題とされている「金融リテラシー」とは、現代社会において社会人として経済的に自立し、よりよい暮らしを送っていくために必要とされる、生活設計の習慣化、金融商品を適切に利用選択する知識・判断力などの生活スキルとしてとらえられている(平成25年6月5日 金融審議会・分科会合同会合議事録より)。
● 官民ラウンドテーブルと金融経済教育研究会
  金融審議会の「我が国金融業の中長期的なあり方に関するWG」の報告書による提言を受け、我が国金融業の向上・活性化に向けて昨年9月に「官民ラウンドテーブル」が設置された。ここでは、少子高齢化が進展する中で、高齢者あるいは現役世代それぞれにとって望まれる金融商品やサービスにはどんなものがあるのか等について議論する「高齢者社会と金融サービス作業部会」の他、国際展開の促進や規制の見直し、リスクマネーの供給力強化のための中小企業金融の向上などについても別部会により継続して検討されている。
  また金融庁金融研究センターに設置された「金融経済教育研究会」では、今年4月、国際化や社会・経済構造の変化とともに様々な金融商品の利用・選択等を通して金融に関わることが避けられない現状において、利用者の金融リテラシー向上は、1,500兆円超の個人資産(大部分が預貯金)の有効活用やグローバル化と(長期・分散)投資の促進による、国民経済全体の成長に貢献することにもつながることが報告された。更に複雑な金融商品や年金を含む関連諸制度の理解のための消費者教育としての金融経済教育の果たす大きな役割を認識し、その内容となる「最低限身に付けるべき金融リテラシー」を、今後の金融経済教育の進め方の中で再整理している。
金融経済教育研究会「最低限身に付けるべき金融リテラシーの4分野・15項目」
http://www.fsa.go.jp/news/24/sonota/20130430-5/02.pdf
※表をクリックすると別画面で大きく表示されます。
● 生保業界等に期待される今後の取組み
  「高齢化社会と金融サービス作業部会」では、次のような具体的な取組み(生保抜粋)を報告している。
@ 医療・介護サービス利用者等のお金に関する悩みについて、相談に乗り解決に向けた初動を手助けする「金融コンシェルジュ(仮称)」の医療機関等施設内設置に関するもの
A 介護を受ける必要のある者や親の介護に深く関与する者の費用負担をカバーする保険商品等の開発促進や、独居老人をはじめとする高齢者に対する諸手続きやサービスについて課題整理と好事例の集約および取組み支援に関するもの
B 個人年金をはじめとする貯蓄性保険商品に対する社会的認知の向上に関するもの
  その他、NISAの普及に向けた取組みや確定拠出年金加入者に対する実効的な投資教育の実施なども挙げられており、対消費者はもとより業界内の今後の金融経済教育のあり方についても、金融リテラシーの向上をベースとするプログラム・メニューへの再構築が必要となってきているのかもしれない。
2013.08.12
前のページにもどる
ページトップへ