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平成24年の平均寿命からセカンドライフを考える
● 平均寿命は男性79.94年、女性86.41年に
  7月に発表された平成24年簡易生命表によると、日本人の平均寿命は男性が79.94年、女性が86.41年と、前年と比較して男性は0.50年、女性は0.51年上回った。
  平成24年簡易生命表は、日本にいる日本人について、平成24年1年間の死亡状況が今後変化しないと仮定し、各年齢の人が1年以内に死亡する確率や、平均してあと何年生きられるかという期待値などを、死亡率や平均余命などの指標によって表したものである。0歳の平均余命が「平均寿命」である。
  厚生労働省が作成・公表する生命表として「簡易生命表」と「完全生命表」の2つがある。簡易生命表は人口推計や人口動態統計月報年計(概数)による死亡数、出生数を基に毎年作成している。一方、完全生命表は国勢調査による人口や人口動態統計(確定数)による死亡数、出生数を基に5年ごとに作成している。
<主な年齢の平均余命(抜粋)>(単位:年)
年齢 男性平均余命 女性平均余命
0歳 79.94 86.41
10歳 70.23 76.70
20歳 60.36 66.78
60歳 22.93 28.33
65歳 18.89 23.82
90歳 4.16 5.47
● ゆとりあるセカンドライフに必要な金額は…
  定年退職後の第二の人生(セカンドライフ)の必要額を計算する際には平均余命を考える必要がある。65歳現役時代の到来を踏まえて、65歳の平均余命をセカンドライフの期間とすると、男性は18.89年で約84歳まで、女性は23.82年で約89歳までとなる(上図より)。
  夫婦の年齢が同じだと仮定すると、夫婦2人の老後が約19年、夫が亡くなった後、妻1人の老後が約5年となる。夫婦2人が豊かな老後を送るためには月に約37万円かかる(生命保険文化センター「ねんきんガイド」より)ので、37万円×12ヵ月×19年=8,436万円が必要となる。
  その後の妻1人の豊かな老後には、37万円×0.7≒26万円かかるとすると、26万円×12ヵ月×5年=1,560万円で、必要額の合計額は9,996万円となる。
● 公的年金の受給だけでは足りない?
  公的年金制度の受給がセカンドライフの基盤となるため、退職後の年金額を概算することは大切である。
  例えば、夫婦2人の期間の年金月額が約22万円、夫死亡後の年金月額が約15万円とすると(生命保険文化センターの調査「老後の最低日常生活費」より)、22万円×12ヵ月×19年=5,016万円と15万円×12ヵ月×5年=900万円の合計額5,916万円となる。
  先に計算した豊かなセカンドライフに必要な額との差額は4,080万円となるが、年金のほかに夫の退職金や預貯金予定額を予想して、必要な準備額を求めることになる。
  年金額は現役時代の年収や平均寿命以上の長生きなどの前提次第で大幅に変わる。また、算出された年金額は、今後の年金制度の改定によっては適時見直しが必要となる。
  公的年金や退職金等では不足する場合は、自助努力で準備をすることになる。特に、自営業者などで国民年金からの老齢基礎年金の受給(平成25年度は満額で年78万6,500円)が主で、老齢厚生年金からの支給が無いか或いは少ない場合には、預貯金や個人年金保険等により早くから準備しておきたいものである。
● 平均余命+αの資金準備が理想だが・・・
  長生きすればするほど、セカンドライフの必要資金は大きくなる。セカンドライフが70歳までの場合と90歳までの場合とでは20年の差がある。もちろん、自分があと何年生きるかは誰も分からないが、理想としては平均余命+αまで生きることを想定して必要資金を考えておきたい(例:簡易生命表によると、現在65歳の男性の約4分の1が90歳を迎えるので、90歳まで25年分の生活資金を準備するということ)。
  多くの人が定年や勇退により、いずれは仕事をリタイアするときが訪れるが、その後の生活資金が枯渇しないように、計画的に備えてセカンドライフを楽しみたいものである。
参照 厚生労働省:平成24年 簡易生命表の概況
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life12/index.html
  
古賀輝行(こが・てるゆき)
古賀社労士・FPオフィス 代表
〒169-0073
東京都新宿区百人町1-4-15 竹見ビル304号 新宿オフィス・サポート内
E-mail:kogasrfp26-22@ae.auone-net.jp
1951年2月22日生まれ(61歳)。損害保険会社に26年間、生命保険会社に12年間勤務後、2011年退職を機に個人事務所「古賀社労士・FPオフィス」を立ち上げる。
客先企業の顧問社会保険労務士としての業務のほかに、ファイナンシャル・プランナー(FP)として、ライフプラン、生命保険、社会保険の相談業務やセミナー講師を行っている。
  
  
2013.08.26
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