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小規模宅地等の特例、老人ホーム入居による空家でも適用
● 従来の取扱いでは、終身利用権を取得すると適用不可
  平成25年度税制改正において、小規模宅地等の特例については、限度面積の拡充、二世帯住宅の取扱いと合わせて老人ホームに入所した場合の取扱いも改正が行われている。最近、被相続人が居住していた自宅を離れて老人ホームに入所し、そのまま自宅に戻ることなく亡くなるというケースが増えており、実態を踏まえる形で見直しが行われた。
  小規模宅地等の特例では、被相続人の居住していた宅地等について、一定の要件を満たせば、特定居住用宅地等として、240uまで80%の評価減を受けることができる(平成27年1月1日以後は330uに拡大)。
  老人ホームへの入所により空家となった場合については、これまでは、以下の4つの要件を満たせば、被相続人の居住用宅地等として小規模宅地等の対象とすることができた。
(1) 被相続人の身体又は精神上の理由により介護を受ける必要があるため、老人ホームへ入所することとなったものと認められること
(2) 被相続人がいつでも生活できるようその建物の維持管理が行われていたこと
(3) 入所後あらたにその建物を他の者の居住の用その他の用に供していた事実がないこと
(4) その老人ホームは、被相続人が入所するために被相続人又はその親族によって所有権が取得され、あるいは終身利用権が取得されたものでないこと
  上記は、国税庁の質疑応答事例として公表されており、法令化はされていなかったが、実務上の適用の目安とされており、実際、終身利用権(老人ホームの居室等を終身にわたって利用する権利)を取得して老人ホームに入ったようなケースでは、自宅が被相続人の生活の拠点とみなされず、小規模宅地等の特例の適用が認められていなかった。
参考 国税庁:老人ホームへの入所により空家となっていた建物の敷地についての小規模宅地等の特例
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/sozoku/10/07.htm
● 要件を緩和し、法令により明文化
  それが、今回の平成25年度税制改正によって、上記の取扱いが改められ、その内容も法令に明記される形となった。具体的には、従前の4要件から以下の2要件に改正された。
(1) 被相続人に介護が必要なため入所したものであること
(2) その家屋が貸付け等の用途に供されていないこと
  この改正により、終身利用権の有無は要件から外され、(1)の介護が必要なため入所する施設として、法令上に有料老人ホームなどの対象施設が列挙された。今後は同様のケースで適用可能な事例が増えるものと思われる。
  なお、この改正は、平成26年1月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用される。
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村田 直(むらた・ただし)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士
大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
マネーコンシェルジュ税理士法人
◎私たちは「経営者へのお役立ち度★世界一」の税理士事務所を目指します!
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2013.08.29
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