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地震保険ニーズの高まりと保険料率引き上げ
● 地震保険付帯率10連続の増加
  損害保険料率算出機構から、2012年度の火災保険への地震保険付帯率が発表されました。
  発表によると、2012年度中に新規で火災保険を契約し、地震保険を付帯した割合は全国平均で56.5%、2011年度の53.7%から2.8ポイント増えました。地震保険の付帯率は10年連続の増加です。
  これを都道府県別に見てみると、付帯率の全国1位は宮城県の83.5%、次いで高知県81.7%、宮崎県71.0%と続いています。増加率で見ると福島県の伸びが大きく、2010年度は40.1%だった付帯率が、2012年度は64.8%と2年間で約25ポイントの伸びで、東日本大震災の影響がうかがわれます。
  しかし、今後、地震保険料の引き上げが予定されており、このまま付帯率が伸び続けるのかどうか、不透明な要素もありそうです。
● 保険料率引き上げとともに割引制度も拡大
  金融庁に提出された、「地震保険基準料率の変更に関する届出」によると、地震保険の料率は全国平均で15.5%、最大で30%の引き上げになりますが、山梨県など建物の構造によっては引き下げになる地域もあります。
  今回の引き上げ理由としては、震源データの追加・更新、地震規模・地盤データの見直しなどを踏まえた料率算出の結果、変更の必要性が生じたためとされています。
  また、保険料率の引き上げとともに、これまでの免震建築物割引、耐震等級割引の割引率についても見直され、以下のように割引率の拡大が予定されています。
現行 改定
 免震建築物割引率 30% 50%
 耐震等級割引率(耐震等級3) 30% 50%
 耐震等級割引率(耐震等級2) 20% 30%
  地震保険料が引き上げになる地域でも、建物の構造によっては割引率が拡大されるため、これから住宅を購入・建築する場合には、住まいの性能を考慮することも、住宅の維持コストに影響を与えることになりそうです。
  地震保険料を抑えるには、地震保険を長期で契約しておけば保険料の節約になります。2年から5年までの長期契約には一定の係数を乗じて計算されるため、例えば5年の場合は係数4.45で、割引率は11%になります。
  地震保険は、建物が全損した場合でも火災保険金額の50%、最大で5,000万円(建物の場合)という制限はあるものの、被災した場合の当面の生活を支える再建費用として大切な役割を持っています。
  住宅購入に関連した火災保険コンサルティングでは、地震保険への加入は必須のアドバイスとなるでしょう。
  
高橋浩史 (たかはし・ひろし)
FPライフレックス 代表(住まいと保険と資産管理 千葉支部)
日本ファイナンシャルプランナーズ協会CFP®
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
東京都出身。デザイン会社、百貨店、広告代理店などでグラフィックデザイナーとして20年間活動。その後、出版社で編集者として在職中にファイナンシャル・プランナー資格を取得。2011年独立系FP事務所FPライフレックス開業。
住宅や保険など一生涯で高額な買い物時に、お金で失敗しないための資金計画や保障選びのコンサルタントとして活動中。その他、金融機関や出版社でのセミナー講師、書籍や雑誌での執筆業務も行う。
ホームページ http://www.fpliflex.com
ブログ http://ameblo.jp/kuntafp/
  
  
2013.09.05
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