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「ふるさと納税」、約5割の地方団体が特産品等を送付
● 改善点は「クレジット決済等収納方法の多様化」
  「ふるさと寄附金制度」(いわゆる「ふるさと納税」)は創設から5年が経過したが、総務省が47都道府県及び1,742市区町村を対象に実施した「ふるさと納税に関する調査」結果によると、寄附者との関係づくりのための取組み(複数回答)としては、「お礼状、感謝状等の送付」との回答が約9割(44都道府県、1,554市区町村)で最も多く、また、「特産品等を送付」している地方団体が約5割(23都道府県、909市区町村)あった。
  寄附金の収納方法(複数回答)は、「現金」、「専用口座への振込み」を採用している都道府県はともに72%、市区町村は各83%、76%、「現金書留」は都道府県が51%、市区町村が62%であるのに対し、「クレジットカード」導入の都道府県は81%あるが、市区町村では6%に過ぎず、「ペイジー」、「コンビニ納付」はともに1%と少ない。
  寄附手続きに係る改善点(自由記述)では、「クレジット決済等収納方法の多様化」が最多、「HPからの申請手続きの簡素化」などが挙げられた。
● 約8割の地方団体が「寄附者が使途を選択できる」
  寄附金の申告に係る事務負担軽減の取組み(複数回答)では、「寄附者へ控除に必要な手続きを記載した文書を配布等により周知」を実施している都道府県が62%、市区町村が46%、また、「寄附者へ記入済みの寄附金税額控除申告書の送付」が都道府県で13%、市区町村で18%だが、「特になし」との都道府県が28%、市区町村が41%あった。
  事務負担軽減のための改善点(自由記述)では、「年末調整の対象とする」、「文書等による申告手続きの周知」との回答があった。
  ふるさと寄附金の使途について、充当事業を決めている団体は都道府県の87%、市区町村の89%だったが、寄附の募集に当たり、都道府県の78%、市区町村の83%が「充当事業を示し、寄附者が使途も選択できるようにしている」と回答、「充当事業等を示しているが、寄附者が使途を選択できない」は都道府県が15%、市区町村が7%だった。また、都道府県の74%、市区町村の50%が、寄附金の使途を事後的に公表している。
● 各地方自治体にふるさと納税の促進策を指示
  ふるさと寄附金制度に対する評価(複数回答)では、「寄附金が増えた」、「住民以外の者の関心が高まった」と都道府県の約6割、市区町村の5割程度が回答、また、「地域の魅力を高める取組みを積極的に行うようになった」と都道府県の26%、市区町村の14%が回答するなど、肯定的な評価が多かった。一方で、「寄附金の受付や申告に係る事務負担が増加した」と都道府県の57%、市区町村の28%が回答している。
  総務省は、この調査結果を踏まえ、各都道府県、市区町村に対して、(1)寄附金の収納方法の多様化を図ること、(2)必要な申告手続きを説明した文書の配布等により、寄附者の申告手続きに係る事務負担の軽減を図ること、(3)寄附者が寄附金の使途を選択できるようにすること、また、寄附金の使途を公表すること、(4)特産品等の送付については、適切に良識をもって対応すること、(5)ふるさと納税に係るPRを積極的に行うこと、を指示し、これらの取組みがふるさと納税のより一層積極的な活用のために効果的である旨、全国の自治体に向けて周知している。
参照 総務省自治税務局:「ふるさと納税に関する調査結果(概要)」
http://www.soumu.go.jp/main_content/000248910.pdf
  
浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に「住基ネットとプライバシー問題」(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍「生命保険法人契約を考える」
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.html
  
2013.09.30
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