>  今週のトピックス >  No.2705
消費税でトクする会社、ソンする会社
● 実は、消費税増税は法人には影響なし?
  消費税増税の経過措置として、一定の種類の契約の場合、平成25年9月30日までに契約を締結しておけば、引き渡しが平成26年4月1日以降になったとしても、消費税率5%が適用される。この経過措置の適用を受けるために、住宅などの購入は駆け込み需要があったという話を聞く。ただし、この経過措置でトクをするのは、一般消費者の場合である。法人事業者の場合、原則課税を前提とすると、増税前も増税後も基本的に有利・不利はない。
  なぜなら、原則課税の場合、「売上とともに預かった仮受消費税から、仕入等とともに支払った仮払消費税を控除した残額を納税する」仕組みが基本だからである。預かっている消費税を納税するだけで、自己負担額はないため、消費税率がいくらになっても、損をするわけではない。もちろん、預かった消費税をしっかり管理しておかないと、納税時に困ることになるわけだが、それは損得とはまた別の問題である。
● 業種、会社規模により明暗が分かれる
  しかし、現実には、消費税で“トクする会社、ソンする会社”が存在する。消費税でトクする会社は、免税事業者、簡易課税適用事業者である。免税事業者は、預かった消費税を納税する必要がないため、消費税率が上がればトクをする。簡易課税の場合も、実際に支払った消費税とは関係なく、みなし仕入率で消費税を計算するため、益税が発生する可能性がある。消費税増税に伴って、これらの益税にメスが入れられる可能性はあるが、現段階では不明である。
  逆に、消費税でソンする会社もある。売上の大半が非課税である業種、例えば医業や調剤薬局などである。これらの業種は、売上のほとんどが非課税であるため、薬剤仕入等にかかった消費税の控除が認められず、消費税の還付を受けることができない。そのため、消費税の増税分を自己負担しなければならず、それがダイレクトに損益に跳ね返ってくる。
  また、課税売上高が5億円超の場合には、仕入税額控除の計算において、個別対応方式または一括比例配分方式を選択しなければならず、非課税売上があれば、仕入等にかかった消費税を全額控除することはできない。こういった会社では、消費税増税によりソンをする可能性がある。自社の現状を把握して、増税対策を考える必要があるだろう。
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村田 直(むらた・ただし)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士
大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
マネーコンシェルジュ税理士法人
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2013.10.10
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