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介護保険制度の見直し案が立て続けに浮上
  安倍政権は、さまざまな法改正や改正案を考案していますが、ここにきて介護保険制度の改正案が立て続けに浮上してきました。もしもこれらの改正が行なわれると、市民生活に大きな影響がでることは必至。場合によっては“介護難民”になる恐れもあります。私たちはそのときに備えて、どのような対策をとっておくべきでしょうか?!
● 要介護度が低いと受けられるサービスが限られる
  介護保険制度の認定は要支援1〜2と要介護度1〜5とされていますが、改正案がそのまま認められると、要支援と認定された場合、介護保険のサービスを受けることができなくなり、要支援者に対するサービスは地域支援事業に移管されることになります(9月4日開催の第47回社会保障審議会介護保険部会資料より)。
  そして人気の特別養護老人ホーム(通称:特養)への入所できるのは要介護度3以上となります(9月18日開催の第48回社会保障審議会介護保険部会資料より)。さらに、所得や財産の有無により介護保険サービスの利用料の引き上げや補助が無くなる(9月25日開催の第49回社会保障審議会介護保険部会資料より)など、高齢者にとって厳しい改正案であるといえます。
  確かに高収入で資産が多くあれば、自助努力で民間施設に入所するなどの方法を選択できますが、その収入や財産が無限にあるとは限りません。要介護度や家族構成にもよりますが、年齢を重ねて収入が途絶えてしまった場合には、介護難民となってしまうことも想定されます。
● 長生きリスクの対策として、貯蓄性の高い保険に注目!
  要介護状態をカバーする保険といえば、まず思い浮かぶ保険は介護保険です。改正を想定した場合には、介護保険の加入は現在の医療保険と同様、加入すべき保険になるといえるでしょう。
  また介護施設に入所することを考えたときには、貯蓄性の高い終身保険などに加入しておき、万一のときの保障とあわせて、解約返戻金などを入所一時金に充当できるように対策を施しておく考え方もあります。
  介護保険や終身保険などは、健康状態によって加入できないことがあります。その場合には介護費用保険に加入することもアドバイスしておきたいものです。
  介護は、自助努力がメインとなる時代がせまってきています。今一度お客様の立場に立ち、イザというときに困らないような対策をお勧めしてみてはいかがでしょうか?
 〜最近の4つの改正案〜
  @要支援1〜2の認定者は介護保険の給付から外される
  A特別養護老人ホーム(通称:特養)への入所は要介護度3以上
  B一定以上所得者は介護保険サービスの利用料が2割負担に
  C低所得者であっても預貯金や不動産がある場合、施設の居住費や食費は補助されない
  
飯田 道子(いいだ・みちこ)
海外生活ジャーナリスト/ファイナンシャル・プランナー(CFP)
  金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっている。主な著書には、「宅建資格を取る前に読む本」(総合資格)、「介護経験FPが語る介護のマネー&アドバイスの本」(近代セールス社)などがある。
  海外への移住や金融、社会福祉制度の取材も行う。得意なエリアは、カナダ、韓国など。
  
2013.10.17
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