>  今週のトピックス >  No.2715
知らないでは済まされない 健康診断のルール
● 健康診断の実施状況に関する調査も増えている
  厚生労働省は、過重労働に起因する健康障害を防ぐために様々な対策を講じているが、事業主に義務付けている健康診断もその一部の役割を担っている。最近、労働基準監督署の調査においても健康診断の実施状況などについての指摘が増加しており、これまで以上に重要視している項目となっているようだ。
  健康診断は、事業主の義務となっているが、そのルールについてはよく理解できていない事項も多いようなので、今回は、知らないでは済まされない健康診断に関する基本的な知識を確認することとする。
● 従業員には健康診断を受診する義務がある
  事業主は、雇い入れ時に健康診断を行わなければならないことになっている。雇い入れ時の健康診断については、医師による健康診断を受けた後、3カ月を経過しない者を雇い入れる場合、その従業員が健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、その健康診断の項目に相当する項目については、省略することができる。
  次に原則として最低1年に1回事業主が行わなければならないのが、いわゆる定期健康診断である。従業員の中には、忙しいなどと言い訳をしながら健康診断を受診しない者もいるが、従業員は健康診断を受診する義務があるので、事業主は業務命令として健康診断を早急に受けるように指示し、業務命令に違反するようなら懲戒処分も辞さないくらいの覚悟でのぞむなど、企業側のリスク回避に努めることも重要である。
● パートでも要件に該当すれば受診させる義務あり
  パートやアルバイトであっても、継続1年以上雇用する場合(またはその予定がある時)は、その契約した労働時間によっては、定期健康診断を行う必要がある。目安として、1週間の所定労働時間が、同種の業務に従事する通常の労働者の所定労働時間数の4分の3以上の従業員(週30時間以上)については実施しなければならない。この基準に満たない場合であっても、概ね1週間の所定労働時間の2分の1以上であるときは、実施することが望ましいとされている。
  最後に健康診断受診後の企業の対応についてだが、労働安全衛生法では、事業主は健康診断の結果について医師等から意見を聴き、就業場所の変更等の適切な対処をしなければならないと規定している。更にその結果に基づき、従業員の健康を保持するために必要な措置について医師等の意見を聴くことまでを義務としているので、健康診断について再度自社の状況を確認し、法律に違反しているようなことがあれば早急に是正をしていただきたい。
  
庄司 英尚 (しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所 所長
社会保険労務士 人事コンサルタント
  福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/
  
  
2013.10.28
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