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平成24年度法人の黒字申告割合は27.4%で2年連続増加
● 申告所得は21.1%の大幅増加の45兆円
  国税庁がこのほど発表した平成24年度の法人税の申告事績によると、今年6月末現在の法人数は前年度から0.3%増の298万5千法人で、うち、平成24年度内に決算期を迎え今年7月までに申告したのは、同0.1%減の276万1千法人だった。
  その申告所得金額は同21.2%(7兆8,991億円)増の45兆1,874億円、申告税額の総額も同5.0%(4,753億円)増の10兆105億円と、ともに3年連続の増加となった。申告所得の増加率が20%を超えたのは25年ぶり。
  この結果、法人の黒字申告割合は前年度に比べ1.5ポイント上昇して27.4%となり、2年連続の増加となった。もっとも、過去最低だった平成22年度(25.2%)までは、初めて30%を割り込んだ平成20年度から3年連続で過去最低を更新していたもので、黒字申告割合は低水準が続いている。法人の黒字申告割合は、過去最高だった昭和48年度(65.4%)の半分にも満たない低い数字が、平成5年度から20年も続いていることになる。
  3年連続の増加となった黒字法人の申告所得金額は、黒字申告1件あたりでは前年度に比べて14.5%増の5,966万円となった。一方、申告欠損金額は、同22.6%減の16兆8,226億円となり、赤字申告1件あたりの欠損金額も同20.9%減の840万円と、ともに大幅に減少し、企業業績の改善がうかがえる結果となった。ちなみに、申告所得金額のピークは平成18年度の57兆828億円、申告欠損金額のピークは平成11年度の33兆2,791億円だ。

● 連結法人の黒字申告割合は50.0%
  なお、今年6月末現在の連結法人数は、親法人が1,450(前年度比12.6%増)、子法人が1万321(同8.7%増)の計1万1,771法人(同9.2%増)だった。このうち、7月末までに申告した親法人は1,275件(同15.0%増)で、その黒字申告割合は前年度に比べ14.8ポイント増の50.0%。申告所得金額は同71.5%増の5兆2,101億円と大きく増加する一方、申告欠損金額は同19.8%減の1兆7,964億円と大幅に減少している。
  連結納税での申告書に添付された個々の親法人・子法人の決算内容の届出書をみると、届出件数1万711件のうち、黒字分は62.5%にあたる6,695件、赤字分が4,016件だった。つまり、連結納税でなければ、黒字申告割合は6割を超えることになる。総個別所得金額も6兆8,237億円にのぼる。
  このように、企業グループ内の個々の法人の所得と欠損を通算して所得が計算できる連結納税の効果は大きい。
参照 国税庁「平成24事務年度 法人税等の申告(課税)事績の概要」
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2013/hojin_shinkoku/hojin_shinkoku.pdf
  
浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に「住基ネットとプライバシー問題」(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍「生命保険法人契約を考える」
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.html
  
2013.10.28
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