> 今週のトピックス > No.2727 |
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消費税の引上げと年金制度の改正 | ||||||||||||
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平成26年4月から消費税率を8%に引き上げることが、10月1日の閣議で決定した。その後に予定されている、平成27年10月の消費税率10%への引き上げは、“経済状況などを総合的に勘案して判断する”とのことであり、施行は現時点では未確定である。消費税の引き上げに伴い施行される、次のような年金制度改正がある。
![]() ● 「消費税8%」と「遺族基礎年金の改正」(平成26年4月施行予定)
消費税増税が決定したことにより、平成26年4月からの遺族基礎年金の改正施行が確定した。現在の遺族基礎年金の支給対象は、「子のある妻」または「子」であり、「父子家庭」は支給対象ではない。つまり、女性が亡くなっても、残された父子家庭には遺族基礎年金が支給されず、“遺族年金の男女格差”ともいわれていた。現行制度ができた昭和36年ころの「夫は外で働き、妻は家を守る」という社会を反映したものといわれている。
今回の改正により、平成26年4月以降に妻を亡くした「子のある夫」も支給対象となる。ただし、保険料を自分で納めていない、第3号被保険者であった妻が死亡した場合には支給されない。 この改正に必要な財源に消費税の増税分の一部が使われるので、もし消費税増税を実施しない、となった場合には、遺族基礎年金の改正も見送りとなっていたことになる。 なお、遺族年金に関わる男女格差は他にもある。遺族厚生年金の受給要件に関し、妻には年齢要件はないが、妻が亡くなった場合、夫には年齢要件がある。妻が死亡した時に55歳以上の夫に限られ、かつ60歳になるまで支給停止となる。このような遺族厚生年金の男女格差を解消することについては、今後の検討課題となると思われ、引き続き注目していきたい。 ![]() ● 「消費税10%」と「受給資格期間の短縮」(平成27年10月施行予定)
現在の年金制度では、20歳から60歳に達するまでの間、被保険者として40年間、保険料を納付することになっている。老齢年金を受給するためには、保険料納付済期間と保険料免除期間などを合わせた老齢基礎年金の受給資格期間が、原則として25年以上必要である。今回の改正では、将来の無年金者の発生を抑えていくという観点から、受給資格期間を25年から10年に短縮することになる。ただし、保険料を10年納めればそれ以上は納付しなくてよい訳ではなく、これまでと同様に、国民年金保険料は40年間納付する義務がある。
また、現在、無年金である高齢者に対しても、改正後の受給資格期間を満たす場合には、経過措置として、施行日以降、保険料納付済期間等に応じた年金支給が行なわれる。この経過措置により、65歳以上の無年金者約42万人のうち、約17万人が平成27年10月から年金を受給できることになる。また、将来無年金者となることが予想される約118万人のうち、約47万人に受給権が発生すると予測される(第10回社会保障審議会年金部会(平成24年2月6日)資料より)。 この改正は、平成27年10月の消費税の引上げに併せて施行される予定である。改正の財源として、こちらも消費税の増税分の一部を利用するため、もし消費税引上げが実施されない場合には、この改正も見送りとなる。 ![]() ● 今後の年金制度の改正は?
平成27年10月の消費税10%引き上げに併せて施行される改正には、「年金生活者支援給付金の支給開始」もある。また、消費税増税とは関連なく実施される改正としては、年金額の特例水準(2.5%)の解消(平成25年10月〜平成27年4月)、産休期間中の厚生年金・健康保険料の免除(平成28年4月施行予定)、短時間労働者への厚生年金・健康保険の適用拡大(平成28年10月施行予定)などが予定されている。今後の消費税の動向と合わせて、お客様へのタイムリーな情報提供が重要である。
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参照 厚生労働省ホームページ「平成25年度年金制度のポイント」
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2013.11.18 |
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