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気象庁が運用開始「特別警報」の再確認
  先日到来した台風26号による伊豆大島の土石流被害をはじめ、京都の河川の洪水・各地で発生した竜巻、また海外ではフィリピン・レイテ島の台風30号による大きな被害など、近年は気象の急激な変化による自然災害の頻度が高くなっているのではないかと憂慮しています。気象庁では、今年8月30日から標記「特別警報」の運用を開始し、重大な災害の危険性が著しく高まっている場合に、非常時の最大限の警戒を呼び掛けることとしています。
  この特別警報の創設は、警報の発令が必ずしも住民の迅速な避難に繋がっていない例や、災害発生の危険性が著しく高いことを有効に伝える手段がなく、適時・的確な避難勧告・指示の発令や避難行動に必ずしも結びつかなかったこと等を踏まえています。また、一方で災害に対する気象庁の危機感を伝えるための「特別警報」であることも念頭に入れる必要があります。
● 「特別警報」の対象と「特別警報の位置付け」となった従来の警報
  新たな特別警報の対象・基準は以下の通りです。
   大雨: 台風や集中豪雨により数十年に一度の降雨量が予想される場合、もしくは、数十年に一度の強度の台風や温帯低気圧による大雨が予想される場合
   暴風・高潮・波浪: 数十年に一度の強度の台風や温帯低気圧による暴風・高潮・波浪が予測される場合
(※ 指定河川の洪水予報や竜巻注意情報などは対象外なので注意)
   暴風雪: 数十年に一度の強度の台風や温帯低気圧による雪を伴う暴風が予測される場合
   大雪: 数十年に一度の降雪量となる大雪が予想される場合
  特別警報の発表にあたっては、降水量、積雪量、台風の中心気圧、最大風速などについて過去の災害事例に照らして算出した客観的な指標を設け、これらの実況および予想に基づいて判断します。
  大雨の特別警報の発令指標は、日本全国を5km四方の格子に区切り、地域ごとに算出した「数十年(50年)に一度」の値にもとづき、「@48時間降水量および土壌雨量指数、またはA3時間降水量および土壌雨量指数において、算出した値以上となる格子の数が府県程度の広がりの範囲で一定以上確認されたとき」としています。台風の場合は、「中心気圧930hPa以下または最大風速50m/s以上(沖縄・奄美・小笠原地方はそれぞれ910hPa・60m/s)のものが来襲するとき」としています。各地域における基準値は気象庁のホームページで確認できます(下記参照)。
  また、警報名は変更ありませんが、特別警報と同等の位置づけとなった警報・基準は以下の通りです。
   地震:  震度6弱以上の大きさの地震動が予想される場合 ⇒ 緊急地震速報(警報)
   津波: 高いところで3メートルを超える津波が予想される場合 ⇒ 大津波警報
   噴火: 居住地域に重大な被害を及ぼす噴火が予想される場合 ⇒ 噴火警報
(噴火警戒レベルを運用している火山ではレベル4(避難準備)以上の場合)
  特別警報は、都道府県から市町村への通知義務はもとより、市町村等から住民への周知活動が義務化されており、注意報・警報時の「努力義務」からレベルアップされています。
● 「特別警報」への対応と今後の課題は・・・
  注意報は災害が起こるおそれがある場合、警報は重大な災害が起こる恐れがある場合、特別警報は警報発表基準をはるかに超える気象状況から重大な災害の危険性が著しく高まっている場合に発令されることとされ、段階的なものになっています。
  特別警報にはこれまでの大きな自然災害のうち、奈良県を中心に多数の死者を出した2011年の台風12号による大雨や、伊勢湾台風、東日本大震災での地震・津波等が該当します。しかし、伊豆大島の台風の例のように、特に島しょ部での特別警報の発令基準値の運用などについては、今後課題も残ります。市町村等の自治体との連携で発令周知されることを理解の上、避難指示・避難勧告などの情報に留意し、命を守るための普段の防災認識・早めの避難行動が重要です。
参照
政府広報オンライン「特別警報が始まりました」
http://www.gov-online.go.jp/useful/article/201307/4.html
気象庁「特別警報の発表基準について」
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/tokubetsu-keiho/kizyun.html
2013.11.18
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