>  今週のトピックス >  No.2735
“ホワイト企業”を支援する「若者応援企業」宣言事業
● 35歳未満を採用・育成する企業と若者とのマッチングを促進
  近年、中小企業の採用活動を難しくしているのが、長時間残業や過酷なノルマを課す労働を強いて若者を使い捨てているといわれる、「ブラック企業」の問題。ですが実際にブラック企業とされているのは一部の企業に限られています。とはいえ、労働環境などの情報が少ない中小企業への就職に不安を感じる若者も少なくありません。そうしたなか厚生労働省は、今年度積極的に若者を採用・育成する企業を認定する「若者応援企業」宣言事業を開始しました。
  若者応援企業宣言事業とは、一定の労務管理の体制が整備されており、若者(35歳未満)を採用・育成するためハローワークに求人を提出し、通常の求人情報よりも詳細な企業情報・採用情報を公表する中小・中堅企業を「若者応援企業」として、積極的に若者とのマッチングやPR等を行う事業です。今年度から認定を始めていて、主な条件は、「社員の有給休暇や残業時間の状況を公表」、「経営難による人減らしをしていない」、「採用内定の取り消しをしていない」などです。
  「若者応援企業」を宣言した場合、厚生労働省ではその企業や若者に以下のようなメリットがあるとしています。
【中小・中堅企業のメリット】
  ・就職面接会などで重点的に若者とのマッチングを支援します。
  ・会社の魅力をアピールできます。
  ・「若者応援企業」の名称を使用することができます。
  ・若者の職場定着が期待できます。
【若者のメリット】
  ・中小・中堅企業の詳細な就職関連情報を入手することができます。
  ・応募前に職場の雰囲気などをよりイメージしやすくなります。
  ちなみに、厚生労働省では若者応援企業としていますが、就職活動をしている若者の間では「非ブラック企業」または「ホワイト企業」と通称されているようです。
● すでに4,000社以上が認定を取得
  「若者応援企業」に認定されるには、次のような基準全てを満たす必要があります。
  1. 学卒求人など、若者対象のいわゆる「正社員求人」をハローワークに提出すること
  2. 「若者応援企業宣言」の事業目的に賛同していること
  3. 以下の就職関連情報を開示していること
・社内教育、キャリアアップ制度等
・過去3年度分の新卒者の採用実績及び定着状況
・過去3年度分の新卒者以外の正規雇用労働者(35歳未満)の採用実績と定着状況
・前年度の有給休暇および育児休業の実績
・前年度の所定外労働時間(月平均)の実績 等
  4. 労働関係法令違反を行っていないこと
  5. 事業主都合による解雇または退職勧奨を行っていないこと
  6. 新規学卒者の採用内定取消を行っていないこと
  7. 都道府県労働局・ハローワークで扱っている助成金の不支給措置を受けていないこと
  上記の基準をクリアし、「『若者応援企業』宣言書」を提出すれば、国のお墨付きで就職活動中の若者に向けて「若者応援企業宣言」が出来ます。すでに10月末時点で4,375社の企業が認定を取得しています。
  各都道府県の労働局では「若者応援企業」を宣言している企業を集め、合同就職説明会を開き、若者の中小企業への就職を後押ししています。東京労働局では若者応援企業を7つの産業別に掲載。11月22日時点で、811事業所が認定されています。ホームページでは現在宣言をしている企業名や求人状況、PRシートを見ることができます。
  各都道府県の労働局では現在も若者応援企業の申し込みを受け付けていますので、人材確保に悩む中小企業の方に紹介してみるのはいかがでしょうか。11月からは認定企業だけを集めた説明会や面接会も開催されています。
  
半田 美波(はんだ・みなみ)
社会保険労務士
みなみ社会保険労務士事務所 代表、株式会社サンメディックス 代表取締役
診療所で医療事務職として勤務した後、医療法人事務長、分院の設立業務担当を経て、2003年に医療機関のサポート会社・(株)サンメディックス設立。2004年にみなみ社会保険労務士事務所を設立。医療機関に詳しい社労士として知られる。
  
  
2013.12.02
前のページにもどる
ページトップへ