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出張時の新幹線グリーン車利用許可割合、再び増加
● グリーン車利用状況や日当額は景気に左右される
  民間のシンクタンク機関である産労総合研究所は、定期刊行誌「労務事情」において、本年7月に、これまでほぼ3年おきに実施してきた「国内・海外出張旅費調査」を実施し、その調査結果を発表した。
  各企業の新幹線のグリーン車利用状況や日当等の平均額は、景気の影響も関係していることが多いので、このデータの推移は大変参考になる。企業が社内規定を見直しする上でもちょうどいい材料となるだろう。
● 役員のグリーン車利用「何らかの形で認める」割合が半数以上に
  本調査では、継続的に国内出張時の新幹線グリーン車の利用許可状況について調べており、今回の調査では、「何らかの形で利用を認めている」(「認める」+「条件付きで認める」)割合は、役職別にみると役員(平取締役)で54.5%、部長クラスで26.0%、課長クラスで19.0%となった。役員(平取締役)でも54.5%というのは若干少ないような印象を受けるが、会社の規模によっても大きく変わってくるところなので、平均値としては妥当であるといえる。
  「何らかの形で認める」割合は以前から漸減傾向にあったものの、2008年度まではおおむね役員で6割前後、部長クラスで3割前後にとどまっていた。東日本大震災後の2011年度には、役員(平取締役)で45.6%、部長クラスで19.9%、課長クラスで15.8%と大きく落ち込んだ。今回の調査で再び上向き、役員(平取締役)は半数を超える結果になっている。
● 一般社員の日当の平均支給額は 2,410円
  出張旅費については、日当や国内宿泊費の大体の相場も押さえておきたいところである。
  今回の調査結果によると、役職別にみた日当の平均額は、社長4,892円、部長クラス2,944円、一般社員2,410円。また宿泊料の上限は、社長16,276円、部長クラス10,961円、一般社員9,840円という結果になった。
  宿泊料の支給方法に関しては、「定額払い」59.8%、「実費支給」10.7%、「一定額を上限にした実費支給」26.6%などとなっており、定額払いをしている企業が多い。また実務上の注意点として、定額払いといっても宿泊した記録のわかる領収書などをきちんと出張旅費精算書に添付して提出してもらうべきである。
  このような調査結果の発表の機会に、ぜひとも自社の出張旅費規程を見直すことをすすめたい。まだ出張旅費規程を作成していないところは、税務面でも労務管理面でも問題になることがあるので速やかに作成すべきだろう。
  出張時の宿泊費や日当に関しては従業員間で不公平があったり、基準があいまいだったりすると、労使間でトラブルになったりすることもあるので、経営陣はこの点を強く認識していただきたい。
参照 2013年度 国内・海外出張旅費調査
http://www.e-sanro.net/sri/news/pr_1311/
  
庄司 英尚 (しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所 所長
社会保険労務士 人事コンサルタント
  福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/
  
  
2013.12.09
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