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すまい給付金実施で消費税増税後の住宅取得はどうなる?
● 収入が一定以下の層の住宅所得を支援する「すまい給付金」
  平成26年4月からの消費税増税を前に、住宅の駆け込み需要がヒートアップしています。注文住宅メーカーでは9月をもって一段落しているようですが、マンション市場はまだまだ活況のようです。
  消費税増税後の住宅産業への影響、住宅取得者の負担軽減などを配慮し、政府は「住宅ローン減税」の延長・拡大に加え、今年10月には「すまい給付金」を閣議決定しています。
  住宅ローン減税は、消費税が現行の5%のときに住宅を取得した場合は各年の限度額が20万円、累計最大控除額が200万円ですが、消費税増税の8%以降、平成29年までは各年の限度額が40万円、累計最大控除額が400万円に拡大されます(いずれも一般住宅の場合)。
  しかし住宅ローン減税は、支払っている所得税等から控除する仕組みであるため、収入が低い人ほどその効果が小さくなります。そこで政府は、住宅ローン減税の恩恵に浴さない収入が一定以下の層を対象に、消費税増税後の住宅取得に対しすまい給付金を打ち出しました。収入額の目安は、消費税が8%のときは510万円以下、10%のときは775万円以下で、所定の要件を満たせば8%のときは最大30万円、10%のときは最大50万円の給付金を受け取ることができます(妻が専業主婦で中学生以下の子供が2人いて、住宅ローンを組んでいる家庭を想定)。
● 消費税が増税になっても負担増にならないケースも
  では、実際に消費税増税前と後で住宅を取得するとどのくらい差が生じるのか、上記の住宅ローン減税とすまい給付金の両方を最大限活用できる年収500万円の会社員Aさんのケースで見ていきたいと思います。
 【前提条件】
 家族構成:Aさん35歳(会社員)、妻35歳(専業主婦)、子(2歳)
 住宅価格:4,000万円(土地2,000万円、建物2,000万円)
 ローン借入額:3,500万円     ローン金利:固定金利2.4%
 ローン期間:30年         持分割合:Aさん100%
 返済方法:元利均等払い、毎月払い、ボーナス返済なし
 ※諸費用含まず  ※土地価格は非課税
  増税後の金額については、国土交通省が開設している「すまい給付金」のホームページに、「すまい給付金かんたんシミュレーション」がありますので、これを利用してみました。その結果が下表の青色部分です。
  住宅ローン減税、すまい給付金の両方を十分活用できれば、所得が一定以下の層では消費税増税の影響はさほどないことがわかります。たとえ増税後の住宅購入であっても、住宅ローンの組み方や金融機関の選定、返済期間、繰上げ返済計画を立てるなどの対策で負担はかなり軽減できると思います。例えば、上記条件のローンを組むとして、1年取得が遅れても頭金が100万円増え、ローンが3,400万円になれば、利息の支払い総額は、約40万円少なくなりますし、頭金を200万円に増やした場合は、約80万円少なくなります。
  住宅購入はとても大きな買い物ですので、少しでも有利な条件のときに購入したい気持ちになるのは当然ですが、国の制度変更に振り回されるよりも個人でしっかりとした計画を立て、冷静に取得時期を判断することが大切ではないでしょうか。
参照 国土交通省「すまい給付金」 http://sumai-kyufu.jp/
  
吉川 芳男(よしかわ よしお)
株式会社ベネフィックスエフピー/AFP/2級FP技能士
1981年茨城県生まれ。二松学舎大学文学部卒。齊藤司享税理士事務所(現さいとう税理士法人)入社後、独立系FP事務所の株式会社べネフィックスエフピーに出向。
入社以来、中小企業の経営者様を中心に生命保険のご相談を始め、住宅取得計画、節税対策など、様々な分野のご相談からトータル的なライフプランのご相談を承り、最善の解決策の提案に取り組んでおります。
  
  
2013.12.16
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