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国税庁職員、3年連続で定員減(平成26年度予算案より)
● 定員減を補う短時間勤務の再任用職員
  国税庁が昨年12月末に発表した平成26年度予算(案)の概要によると、定員については、要求段階では消費税率引上げなどへの対応から943人の増員を求めていたが、837人の新規増員が認められたにとどまり、定員合理化計画に基づく合理化数等が▲903人であることから、差し引き66人の純減となった。この結果、同庁の定員は3年連続の減少となり、平成26年度末の定員は5万5,790人となる。
  昨年1月から始まった税務調査手続きの法定化により、課税理由の説明などが原則義務化されて事務作業量が増加した影響で実地調査件数が大幅に減少したことや、本年4月に控える消費税率引上げへの対応などを考えると、定員減は首をひねるところだが、これを補う再任用職員の存在がある。再任用職員には、フルタイム勤務の職員と短時間勤務の職員の二通りがあり、国税庁の場合、短時間勤務職員が大半を占めている。
  定員との関係でいえば、同じ再任用職員であっても、フルタイム勤務職員は定員に含まれるのに対し、短時間勤務職員は定員の枠外として取り扱われる。このため、定員が減ってもその分をベテランである短時間勤務の再任用職員がカバーすれば業務に支障は出ない。再任用職員は年々増加しており、平成25年7月1日現在、国税庁の再任用職員(税務職)は878人で、うち859人が短時間勤務職員となっている。
  平成26年度予算(案)をみると、再任用短時間勤務職員用の機構として、国税庁に派遣国税庁監察官補、国税局に税理士専門官・人事専門官・実務指導専門官のポストが複数設けられている。
● 徴収共助や税番号制度対応でポスト増員
  定員については平成24年度以降3年連続純減となる66人の純減だった中、機構関係に関しては、再任用短時間勤務職員用のポストとして派遣国税庁監察官補や税理士専門官、人事専門官などが認められたほか、「税制改正等への対応」、「社会保障・税番号制度への対応」、「調査・徴収事務の複雑化等への対応」、「国際化への対応」等の要求も認められている。
  具体的には、税制改正等への対応として、平成23年11月に署名した税務行政執行共助条約による徴収共助の導入に伴う事務の執行体制の整備を図るため、国税庁国際業務課に国際企画官と課長補佐を1名ずつ増員する。社会保障・税番号制度への対応としては、他省庁との法人番号の調整事務の総括・監理を行うため国税庁に課長ポストの参事官の設置が認められた。
  一方、調査・徴収事務の複雑化等への対応をみると、調査・徴収体制の強化策として金沢・高松国税局への「源泉所得税事務集中処理センター室」の新設が、また審理体制の充実・納税環境整備への対応として、審理専門官を国税局に7名(東京・大阪の国税局に各2名、金沢・高松・熊本の国税局に各1名)、税務署に15名の増員が認められた。
  そのほか、平成22年度から連年認められている専門スタッフ職として、国税庁に揮発油におけるバイオメタノール等油類の新たな分野についての分析・鑑定等を行うための技術的な研究などを行う「分析鑑定技術支援官」(仮称)、国税不服審判所に判例の研究や過去の事例のプロセス検証を行う「行政救済分析官」(仮称)の設置が認められた。
  
浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に「住基ネットとプライバシー問題」(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍「生命保険法人契約を考える」
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.html
  
2014.01.20
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