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ゴルフ会員権の売却損、損益通算できるのは3月まで
● これまでは他の所得などと合わせて総合課税の対象だったが…
  今週のトピックスNo.2741でも報じているが、近年、税制改正の議論のたびに見直しの俎上に上がっていたゴルフ会員権等の譲渡損失と他の所得との損益通算がついに打ち切られる。
  平成26年度税制改正大綱に、「譲渡損失の他の所得との損益通算及び雑損控除を適用することができない生活に通常必要でない資産の範囲に、主として趣味、娯楽、保養または鑑賞の目的で所有する不動産以外の資産(ゴルフ会員権等)を加える」ことが盛り込まれた。平成26年4月1日以後に行う資産の譲渡等から適用される。
  現行制度では、ゴルフ会員権等を売却したときの所得は譲渡所得として事業所得や給与所得などと合わせて総合課税の対象となる。このため、譲渡損失が出た場合には、事業所得や給与所得など他の所得との損益通算ができる。
● 含み損のあるゴルフ会員権は3月までに売却を!
  所得税法(施行令第178条)では、他の所得との損益通算及び雑損控除ができないものとして、下記のように具体的に列挙している。
   (1)  競走馬その他射こう的行為の手段となる動産
   (2)  通常自己及び自己と生計を一にする親族が居住の用に供しない家屋で主として趣味、娯楽または保養の用に供する目的で所有するものその他主として趣味、娯楽、保養または鑑賞の目的で所有する不動産
   (3)  生活の用に供する動産で(施行令)第25条の規定に該当しないもの
  (3)は、譲渡所得について非課税とされる30万円以下の宝石、書画、骨董などを含む生活用動産だが、今回の改正では、(2)の範囲に、「主として趣味、娯楽、保養または鑑賞の目的で所有する不動産以外の資産」を加える。具体的には、ゴルフ会員権やリゾート会員権などの動産だ。
  適用となる本年4月1日以降は、上記の条文に規定する競走馬や別荘などを売却した場合と同様に、分離課税に移行し、他の所得との損益通算や雑損控除ができなくなる。
  今年4月1日以後に行うゴルフ会員権等の譲渡から適用となるので、あと約2ヵ月の短い期間しか残されていないが、もし譲渡損失が出るゴルフ会員権等を所有し、利用もしていない場合には、損出しのラストチャンスとなる。早めの売却を検討する必要があろう。
  なお、法人が所有するゴルフ会員権等は、これまでと変わらず、譲渡損失を損金計上することができる。
  
浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に「住基ネットとプライバシー問題」(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍「生命保険法人契約を考える」
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.html
  
2014.02.03
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